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奇襲(斎藤バディサイド)

「でも、犯人ってどう捕まえるんですか?」

 俺と暁さんはA1エリアのある家に向かって歩いていた。

その家とは、柏崎夏菜子という人物だ。

梓沢さんには前があり、それは柏崎さんへの暴行だ。

でも、それが今回の事件に繋がっているのだろうか……。

「いくら頑張って証拠を消そうが、いくら頑張って密室を作ろうが、消せないものはあるんだよ」

「消せないもの?」

「それは動機さ、どんな事件にも相手が感情を持つ以上必ず動機は存在する。それを突き詰めていけば自ずと犯人の検討はつくものなんだよ」

「はー、それで柏崎さんの家へと?」

「そうだよ、これはどんな犯人にも使える捜査方法さ。覚えておくといいよ」

「は、はい」

 なるなど、動機か……。

となるとまずは梓沢さんの人間関係を調べる必要があるんだなぁ。

 そう考えて歩いていると、目の前に男が立っていた。

明らかに通行の邪魔なので少し注意するとするか、と思いその男に近づこうとした時、暁さんが俺を止めた。

「君何者だい? その右手に持っているものを出してくれないかな」

 暁さんは俺を後ろに隠しながら、自警団の手帳を見せて男に近寄る。

「……えろ」

 男は小さくそう呟くと、手に持っていたものを自分の首筋まで近寄せる。

「あ、あれって!?」

 男が右手に持っていたのは荒木達が見つけた人を能力者に変える薬、アビリティだった。

「きえろ!」

 男はそう叫ぶと、思いっきりその薬の入った注射器を首筋に刺した。



「……計算違いだな」

 フードの男は通話を終えたスマホを下ろし、そう呟く。

「まさかこのエリアを嗅ぎ回られるとは、流石に捜査能力をなめていたか」

 しかし、それでも焦った様子を見せずにスマホにある電話番号を打ち込む。

そして何コールかした後、目的の男との通話が繋がった。

『も、もしもし……』

「もしもし相棒か、すまんな、自警団に今A1エリアを嗅ぎ回られている」

『な、なんだと!?』

 目的の男、小野田真咲は震えた声でそう答えた。

「落ち着け、まだ方法はある。……ククク、喜べまたアビリティが使えるぞ」

 フードの男は楽しそうにそう笑うと、小野田に作戦内容を伝えた。



「きえろ!」

 目の前の男はそう叫ぶと、アビリティを首筋にさした。

「くそ、止められなかったか!」

 暁さんはそう叫ぶと、一気に男に近づき拘束しようと右手首を掴む。

「君、それがどんな薬か分かって使っているのか!」

「フーッ、フーッ!」

 説得を試みようとするも、男は完全に薬に飲まれており荒い息を吐いて左手で暁さんを掴もうとした。

「くっ、想像以上の効果だな……」

 しかし掴まれる前にすぐに下がり、俺の所まで戻った。

「戦闘は僕がやる、斎藤くんは今の内に実行部署に応援を頼んでくれ、それと主任に僕の異能使用許可を!」

「わ、わかりました!」

 俺はすぐに応援を頼むためにスマホを取り出す。

「えっと、電話番号は……」

 そして、スマホに電話番号を打ち込もうとした時、急に現れたもう1人の男にスマホを取られた。

「悪いな、今はお前達の戦闘能力を測りたいんだ」

 フードを被った男はひどく枯れた濁声でそう言う。

「な、なんの話だ! というか返せ!」

 俺は目の前に突然現れたフードの男を掴もうと手を伸ばすも、それを瞬時に避けられ差し出した腕の手首を掴まれた。

「……チッ、こっちは外れか。あっちで黙って見てろ」

「な、何を――うわぁ!」

 俺は気づけばフードの男に凄い力で投げられていた。

「うっ、ぐっ……」

 凄い勢いで飛ばされた後、地面にぶつかり全身に痛みが走る。

その痛みのせいで立つことすら出来なかった。



「斎藤くん!」

 暁は突然現れたフードの男に飛ばされた斎藤が心配になり近づこうとするも、それを小野田が止める。

「フーッ、フーッ!」

「邪魔だ!」

 暁は目の前に現れた小野田を掴み、足払いして重心を狂わせる。

「少し寝ていてくれ!」

 バランスを崩した小野田を自分の肩に乗せて、背負い投げで地面に叩きつけた。

 もちろん普通の背負い投げではない。

重心のコントロールと能力者の腕力を使った背負い投げは背中に通常以上の衝撃を与える。

 それはたとえアビリティを使った人間でも、一瞬で無力化出来てしまう威力を持っていた。

「ガァッ!」

 それは小野田も例外では無く、肺から全ての空気を出して一瞬の内に気絶した。

「ほう、一発か」

 小野田を無力化した暁は、後方にいるフードの男と斉藤との位置関係を確認し作戦を練る。

「急に現れたって事はあなたが梓沢をコンテナまで運んだ犯人ですか?」

 暁はそう言うと、フードの男はニヤニヤと笑う。

「そうだと言ったら?」

「捕まえるまでだ!」

 その言葉と同時に暁は一気に踏み込み、フードの男との距離を詰める。

そして一瞬の内に近づくと、強く足を踏み込んで拳を突き出した。

「ほう、なかなかやるな」

 だがフードの男はそれを軽々と避け、斎藤と同じようにその手首を掴もうとする。

その瞬間、斎藤の拳は開きフードの男目掛けて手刀を放った。

「チッ!」

 フードの男はそれに舌打ちをして、その場から()()

「なっ!」

 暁はその光景に一瞬動揺するも、すぐに斎藤の方に向かって走る。

だがそれは罠だった。

 フードの男は斎藤の手前に現れ、暁と斎藤の合流を邪魔すると共に暁の胸ぐらを掴んで持ち上げた。

「暁さん!」

「中々の戦闘力だが……仲間を狙われたら助けるしかないよな」

 フードの男はニヤニヤと笑いながら暁にそう言う。

だが瞬時にある違和感に気づき、すぐに手を離そうとしたが暁が話そうとする腕を掴んで話さなかった。

「き、きさま!」

「悪いね、緊急事態なんだ」

 暁はそう言って腕をがっしりと掴む。

そう、フードの男の感じた違和感とは暁が掴まれるのは対し()()()()()()()()()()()()()()()

「ぐ、ぐわぁぁぁぁ!」

 フードの男はありったけの力を使い、掴んだ手を離すと頭を押さえる。

「な、何をしたんですか?」

 斎藤はフードの男の尋常ではない苦しみ方に驚き暁に聞こうとするが、暁は説明せずに斎藤を抱え逃げる。

「悪いけど今は説明している暇はない、逃げるよ!」

 だがフードの男はその攻撃を受けた瞬間、逃す気を失ったのか纏う雰囲気が変わる。

「おのれ……」

 そう呟くと瞬時に地面に沈み、暁の足元に手を出した。

「くそ、しつこいな!」

 暁は斎藤に逃げるよう指示を出して、突然現れた手をジャンプして躱し出た方向に視線を向ける。

「い、いない……? まさか!?」

 その時暁は敵の狙いに気づき、すぐに斎藤の方向を向くも既に遅かった。

「逃げろーーー!」

 斎藤の足元から手が現れているのに気づき、そう叫びながら斎藤を押し飛ばすが、それこそが敵の本当の狙いだった。

「ガハッ……」

 斎藤を庇い、現れた手によって腹部を殴られる。

その衝撃は非常に強いもので、暁はそのまま上空へと打ち上げられた。

 そして、上空から落ちていく暁に合わせてフードの男は回し蹴りを放つ。

その攻撃に暁は多少のガードをしつつも、衝撃は消せずに血を吐き、地面を回転して吹き飛んでいき、止まった時にはその場から動かなくなった。

「チッ、不意打ちにも奇妙な異能を使って抵抗しやがって……ダメだ頭がまわらん、撤退だ」

 フードの男は頭を押さながら気絶した小野田を掴み上げ、瞬時にその場から消えた。

「あ、あ……暁さーーーーん!」

 後に残ったのは動かなくなった暁と、それを見た斎藤の悲痛な叫び声のみだった。

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