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今回から新章です。

軽くあらすじ紹介しておきます。


昨今巷ではアビリティという薬が流行っており、それを取り締まっている古川健という人物を荒木達は追います。

しかし荒木達が古川を見つけるも、それは既に死体になっており、古川殺しの犯人を捜査をする事になった荒木達は、アビリティという薬の真の恐ろしさを知る事になりました。

2人は犯人が佐々木千恵という古川の恋人だと分かり、戦闘と説得の末、彼女と自供の約束をしますが自供をする前に何者かによって殺されてしまいます。



新章、よろしくお願いします!

「ボス、任務を遂行しました」

 スーツを来た金髪の女は静かに報告をする。

「そうか、ご苦労。それと……」

 ボスと呼ばれた男は報告を受けると、金髪の女に2枚の書類を渡した。

「これは……?」

 金髪の女はその書類を受け取ると、怪訝な顔でそれを見つめる。

「荒木剛太と安藤沙羅、この一連の捜査を行った人間だ」

 そう言うと葉巻を口に加えて火をつけた。

「それで、この人達をどうしろと」

「我々の敵かどうか確認しろ、もし敵なら……そうだな、消しておけ」

「消すって、ボス……いくら何でも最近おかしいですよ! こんな、誰彼構わず殺すなんて――」

「誰がお前の事を養ってやったと思っている」

 突然の言葉に焦った金髪の女はそう言うが、ボスと呼ばれた男は煙を吐いて言葉を遮った。

「別に辞めても構わんのだぞ? その場合は……無論、お前の命は無いがな」

「くっ……分かりました……」

 金髪の女はその言葉に渋々頷き、その場から去っていった。

「ふぅ……そろそろ消し時だな」

 ボスと呼ばれた男は、金髪の女が消えた後煙を吐いて静かにそう呟いた。



「どういう事ですか!?」

 俺は先ほど言われた主任の言葉に反論していた。

「荒木君の気持ちは分かるが俺たちは組織だ。ワンマンは許されない」

 主任の言い分は理解できる。しかし納得はいかない。

 俺は今朝、千恵さんが殺されたと聞きその調査に加わりたいと要望した。

だが自警団は警察が優先度が低いと判断したものをかわりに捜査をする組織だ。

つまり警察が優先度が高いと判断すれば、俺たちは捜査が出来ない。

 今回がそれだ。警察が千恵さんの殺人事件を優先度が高いとし捜査を最優先とした。

「気持ちは分かるけど主任に言っても仕方ないわ。別に捜査しないってわけじゃないんだから、今は警察を信じて待ちましょう」

「……わかりました」

 沙羅さんがそう言うのなら仕方がない。

それにこれ以上反論しても、きっと何も発展しないだろう。

渋々諦めて主任に謝った。

「分かってくれて助かるよ、それと君に連絡があるんだ荒木君」

 連絡?連絡をもらうような心当たりがないが、何だろうか。

「君の評価をしたいという事で、これから1週間警察官の1人が君とバディを組む事になった」

「え、俺の評価ですか?」

「あぁ、喜べ荒木君。警察に気に入られれば指名の依頼も増える、そうなれば出世コース間違い無しだ」

「なぜ俺を……?」

 出世はどうでもいいが、なぜ俺が評価される事になったのだろうか。

「うむ、沙羅の報告書と依頼者の証言でね、君の捜査能力と対応の良さが話題になった。いやぁ鼻が高いな、警察は嫌いだが優秀な人間が評価されるのはこっちとしても気持ちがいい」

「は、はぁ……」

 警察が嫌いって、それあなたが言って良いのだろうか……。

そう考えていると、沙羅さんが一歩前に出て主任のデスクに手をつける。

「主任、私はそんな事一言も聞いてませんが」

 主任は沙羅さんの言葉に唸ると、一枚の書類を出した。

「それもそうだろう、何せ急に来たからな」

 沙羅さんと俺がその書類を確認すると、どうやら昨日にこの話が来たようだ。

「確かに……ですがこの書類にある記載日時、昨日の日付ですよね、いくらなんでも急すぎませんか?」

「それを俺に言われてもなぁ」

 そう沙羅さんと主任が話していると、奥から見たことない綺麗な金髪の女性が現れた。

「はぁ……」

 スーツ越しに見えるスラッとした体型、人形のように小さな顔、見惚れるほど綺麗な青い瞳に金色の髪の毛。

 俺は気づけば、モデルと思えるようなその容姿に見惚れていた。

「はぁ……荒木くん」

「いてっ」

 その美しさにぼけーっとしていると、沙羅さんの声がした後、みぞうちあたりに衝撃が走った。

「ジロジロ見過ぎよ、まったく……」

「は、はい……」

 どうやら沙羅さんに肘をぶつけられたようだ。

注意は普通に口でして欲しい……。

能力者の攻撃はどれもかなり重い、こんな些細な攻撃でも結構痛いんだ。

「ははは、仲の良いバディのようですね」

 綺麗な金髪の女性は、俺達を見てそう言うと主任の隣まで移動した。

「ああ、紹介しよう。先ほど話していた荒木君の評価をする人間、リネ=アジェリーナさんだ。海外生まれの人だが言葉は通じるので問題ない」

 主任が紹介すると、アジェリーナさんは会釈をした。

「はじめまして、1週間臨時バディを務めさせていただきますリネ=アジェリーナと申します。あ、能力者ではないのでどうぞお手柔らかにお願いします」

「は、はじめまして。荒木剛太です、よろしくお願いします。能力者です」

 俺がカクカクとお辞儀すると、アジェリーナさんはにかんで笑う。

「そんな緊張なさらず、どうぞ気楽にリネと呼んでください」

「あ、はい……よ、よろしくお願いします、リネさん」

「ふふふ、よろしくお願いします。私は荒木さんの事なんてお呼びすればよろしいでしょうか」

 俺はリネさんのその言葉に少し考える。

そういえば俺、荒木以外呼ばれた事ないな。

守さんからは剛太くんと下の名前で呼ばれているが……。

「特に希望がないなら剛太くん、とお呼びしてよろしいですか? 私の故郷ではファーストネームで呼び合うのが文化でして」

 おぉ、剛太くん……。

女性に下の名前で呼ばれるってこんな素敵な気持ちなのか……。

素晴らしい……素晴らしいぞ、これは……。

「は、はい是非お願いしま――ぐふぇ」

 また隣の沙羅さんに肘をぶつけられた。

「あら、そんなにファーストネームで呼ばれるのが嬉しいなら私も呼んであげましょうか? こ・う・た・く・ん?」

 おうふ、その時俺の背中に悪寒が走った。

素人の俺でも分かる。これは殺意がこもっている。

「え、遠慮しときます……」

 俺がそう答えると、沙羅さんは眉間にシワを寄せ睨む。

「デレデレしすぎ、みっともないからやめなさい」

「は、はい……」

 低姿勢で沙羅さんにひたすら謝り、気持ちを切り替えてリネさんを見る。

「剛太で大丈夫です、よろしくお願いします!」

「本当に仲良しなバディですね。はい、こちらこそよろしくお願いします」

 お互いに礼を済ますと、沙羅さんが前に出た。

「荒木剛太の指導役兼バディをしています、安藤沙羅です。……既に色々と至らぬ所を見られましたが、1週間よろしくお願いします」

 沙羅さんが頭を下げると、リネさんはそれに少し笑って答えた。

「いえ、こちらこそ急に申し訳ありません。よろしくお願いします」

 リネさんがそう答えた後、沙羅さんとリネさんは引き継ぎ等々の話を進める。

その間、俺は今日行う依頼を決める事になった。

「荒木君、適正な評価のためにも今日は君が事件を選ぶと良い……ここだけの話だが評価をするのに事件の種類は決まっていない、簡単なものを適当に選んでおけ」

 主任は俺の肩に手を乗せてそう言うと、最後らへんは俺に耳打ちで小さく話した。

主任がそんな事言って大丈夫なのだろうか。

「まあでも、いきなりハードなのはちょっと……」

 リネさんの実力が分からない状態で殺人事件やら前回のように薬の事件やらを選ぶのは怖い。

 ここはペット探しを……いや、前の猫探しでは結局殺人事件に発展したな……。

「ん? これなんてどうでしょうか」

 目についたのはここからとても近い、A1エリアのストーカーについての依頼だった。

「ストーカーか……状況によっては長引くがまあ1週間で実力を見る分にはむしろ丁度いいかもな」

 そう言うと、主任はリネさんと沙羅さんを呼び依頼を見せる。

「今日から荒木と沙羅のバディは一時解散、荒木とリネを臨時バディとし、このストーカー事件について捜査にあたってもらう。沙羅は今後とりあえずは私の手伝いを主な仕事にしてくれ」

「「わかりました」」

 俺とリネさんはそう答えて、上着を羽織い現場へと向かった。

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