表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

7月 約束、恋の面影

No.3 約束、恋の面影


夏紀の爆弾発言からしばらくたった夏休みの朝。

夏紀の気持ちをよそに、俺と雅先輩は更に仲良くなった。メアドも教えてもらい、電波で繋がることが出きるようになった。

言うまでもないことだが、俺と雅先輩の仲を噂されるようになり、夏紀の機嫌は最高に悪くなった。


雅先輩からのメールを待ちながら、一階のリビングに下り、テレビをつける。

いつものことだが、父と母は共に仕事で留守、珍しく部活がある夏紀もいないということで、俺は開放感に浸ることができる。

エアコンをガンガンにつけ、アイスを食べようと冷蔵庫に向かう。

しかし、冷蔵庫にアイスは入っていなかった。

仕方がないので、アイスを買いに行くことにする。

近くに村岡悠翔先輩のおばあちゃんの経営する駄菓子屋がある。そこへ行けば、当たらなくとも二本アイスが貰えるのだ。

今日はソーダにするかコーラにするか悩みながら歩いていると、雅先輩らしき人がいた。いつもと違って下を向いて歩いていた。

「雅せんぱーい!!」

俺は雅先輩に手を振り大声で呼んだ。

「なっ...渚クン。」

顔をあげた先輩の頬には、涙の跡があった。

「どうしたんですか?」

先輩に近づくと先輩は俺の胸に飛び込んできた。

どうしたんだろうと思ったが、そのまま優しく抱きしめた。

「なんでかな?....私何かしたかな?」

俺の腕の中で泣き始める先輩はよく分からない事を聞いてきた。

「でも...私負けないから!!」

突然強い眼差しで俺を見つめてきた。

「はっはい....。」

よく分からないが、ひとまず頷いておいた。

「ねぇ...渚クン!!私と都柴祭りに行きませんか?」

何を言い出すのか急に夏祭りの約束をせがまれた。でも誰とも約束していないし。相手は雅先輩だし。

俺はちょっと嬉しくなった。

「ねぇ...ダメかな?」

もう一度先輩は言った。

「もちろんいいですよ。ただし条件付きで。」

俺は雅先輩の耳元で、本当は付けなくてもいい条件をつけた。

俺の中で大きく、しっかりと形を付け始めたこの気持ちはいったい何なんだろうか...そんなことを考えながら、俺はまた強く先輩を抱きしめた。


そんな真夏の小さな小さな約束の日。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ