89 保護区はいつもいつもいつも現在進行 道普請 2001年4月
89 保護区はいつもいつもいつも現在進行 すずがも通信127号 2001年4月
道普請
満開の白梅の下で、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、セイヨウタンポポ、と春の三原色が咲きそろいました。観察舎前の導流提上の緑がひと雨ごとに濃くなってゆきます。風が冷たく、小雪が舞う日まであって、例年になく寒い3月ですが、春の足どりは着実です。
私が好きな季節は立春の前ごろ。あたり全体が冬一色なのに、近づいてきた春を待つ待機の姿勢がみなぎっているような時期。
立春を過ぎると、季節の変化がめまぐるしく進み、3月に入るともう目がまわってしまうような気がします。月末には営巣場所整備の管理作業を始めるつもりなのに、常勤スタッフ3名がいっしょに保護区の様子を見に行く時間がまだとれない!まあ、この1週間のうちにものごとが少し落ちつく予定なので、見通しが立つでしょう。
実質的な保護区の環境改善や管理作業を観察舎スタッフがほぼぜんぶ担当するようになってから4年目。どんなことをどのようにやるか、見当がつくようになっています。よい結果を生む工夫の余地ができるはず。じっくり落ちついて、まわりをみることからスタートするつもり。
ボランティアの森田昭次さんが、よしず編み用のコマを作って、厚手のよしずを何メートルも編んでくださいました。寒くない日なら私もやりたいなあ。昨年作った目隠し用のスクリーンが1年でばらばらになってしまった三島池の観察壁は、よしずを使って補修がすみました。仕上がりはとてもきれいです。今年は草刈りの時に意識して、よしず等の材料確保をはからなくては。
待機の時期の仕事として、雪や霜でぬかるみだらけになってしまった観察路の手入れにけっこう時間をかけました。作業のために毎日のように人や自転車が通り、観察会でも必ず使われる新浜鴨場脇の道(直線ルートとかメインルートと呼んでいます)は、踏みつけに強いオオバコやクサイといった植生にかわっていますが、土がむきだしになった部分もあります。霜柱あとのぬかるみがひどくて、少しずつおがくず(傷病鳥舎で使用済みのものをためてある)をかぶせていましたが、雪がふるたびに運動靴では歩けないほどぐちゃぐちゃになります。リヤカーに何杯もおがくずを運んで敷きならし、表面には刈ってこなした草をまきました。おがくずも草も半年もたたないうちにこなれて土になりますが、当面は靴を泥んこにせずにすむはず。
それにしても、保護区の目標が湿地復元であるからには、ぜんたいの地下水位は上がり、道もますます水っぽくなる予定。観察路(特にメインルート)をどうするか、軽トラックが走るための最小限の管理通路はどうするか。これまでは池や水路を作ることばかり考えていましたが、これからは道や観察スポットといった乾いた場所、陸上動物である人間にとっての便利さ、ということも考えなくてはいけないんだなあと思いました。




