88 アヒルの超巨大腫瘍が 2001年4月
88 鳥の国から すずがも通信127号 2001年4月
アヒルの超巨大腫瘍が
ソフトボールより大きな腫瘍をお尻にぶら下げた白アヒル。ソフトレーザー治療器で、ともかく毎日照射してみることに。黒くなった表面には、化膿や炎症に効くとされているA波を当て(化膿しているわけじゃないのになあ、と思いつつ)、周辺には血行促進に効くとされているC波を当て(それぞれ5分ずつ)、1週間ほどたつと、まんまるだった腫れものの表面がちょっとでこぼこしてきました。表皮もなんとなく乾いた感じ。でも、ちっともよくなったようではなくて、それまでは腫れ上がっているだけだった脂腺の近くまで黒変してきました。
さらに10日ほどたったある日、表皮が破れて血膿のようなものが流れているのに気づきました。強い臭気があります。それから4,5日後の日曜日(2月11日)、腫れ物の皮が大きく破れました。出るわ出るわ、まるでスイカの中身のように、液体ばかりか、「牛肉の大和煮」みたいな肉塊がぼろぼろはがれ落ちるのです。何日か洗浄と消毒を続けると、腫れものの中身はきれいにとれて、黒変した皮とむき出しの傷口(直径8㎝ほど)だけになり、アヒルはすっかり身軽になりました。
原因は血腫(巨大な血豆)。固まった血液は繊維組織(肉片)に変わるのだそうです。治療を始めてすぐ、血腫を養っていた毛細血管が栄養を運ばなくなり、組織が死んでくずれたということ。乾いた皮は10日ほどで落ち、どろどろした傷口にはかさぶたができて、今週になってから(3月8日)これはなおる、という確信が持てました。傷口が乾いてやや小さくなり、周辺の皮膚に羽が生え始めたのです。アヒルは終始元気で、このごろはレーザー照射のために押さえつけられるのをいやがるようになりました。
餌場に集まっていたオナガガモが、今週に入って急に減ってきました。もう3月10日、渡去の時期が迫っています。5日には夏鳥のコチドリが保護区内で見られています。この日には、餌場の池でヒキガエルを32匹数えました。5匹くらいかたまって蛙合戦の最中というものもいました。アカガエルの卵塊は、町田さんが2月25日に発見。ぼつぼつ増えています。土手にはオオイヌノフグリの青い星が満開。ああ、春だ。
常勤スタッフの私と大黒柱1・2号氏の3名は、そろってただひたすらデスクワーク。終わらせないと春の管理作業にかかれない。でも、トンネルの出口にぽっつり光が見えてきました。もう一息、二息、三息‥‥‥来週は、そろって保護区の様子見と現場打合せに出かけられるように、黙々と机に向います。
たいへん静かな鳥の国でした。




