87 ソフトレーザー治療器 2001年4月
87 鳥の国から すずがも通信127号 2001年4月
ソフトレーザー治療器
今、ちょっと気をよくしています。野鳥病院で、とうてい助からない、どうやっても助けようがない、と思っていた患者さんの1羽が確かに快方へ向かっているのです。めったにないこと(そういうことでいいのか!)なので、うれしくてたまりません。もっとも、人間万事塞翁が馬でして(わがスタッフさんたちは漢文や古文の授業をとっていないので、こういうことを言うとまずわかってくれない)、よくなってうれしいなんて言おうものなら、次の日死んでしまったりするのです。そうならないといいなあ。
患者さんはただの白アヒルです。飼われていた鳥でなければ、あそこまでものすごい状態になるまでにさっさと死んでいたはず。たしか市内北寄りにあるじゅんさい池から市役所の公園緑地課を通じて持ち込まれたもので、元気にしていました。問題は、お尻の横のものすごい腫れもの。「お尻が腐ってしまってるみたいなんです」
直径10㎝ではききません。15㎝にはならなかったので、まあ12~13㎝ほどのサイズです。ソフトボールより大きい丸い腫れものがずしっとついていて、いかにも重そうでした。球形の腫れものの表皮の半分以上は黒く変色していて、まわりは紫色でした。腫れものの周囲もはれぼったくなっていました。
良性のものであることは間違いありません。ガンなどの悪性のものであれば、ここまで大きくなる前に死んでいたはずです。しかし、これほど大きくなってしまったものは、どんな方法でやっても、切り取ったら出血やショックがひどくて、死んでしまうでしょう。
よし、レーザー治療を試してみよう。他に打てる手を思いつきませんでした。
小動物用のソフトレーザーの治療器を購入したのは昨年8月。症状が軽くなった例は割合あるのだけれど、完治、という気持のよい症例はまだほとんど出ていません。この治療器のよくない点は、ともかくよくわからない、というところ。先端からレーザー光が出て、それもパルスを様々に変えて出すことができて、非常に広範囲の症例に改善が出る、ということになっています。基本的には「細胞の活性を高める」のだそうです。でも、機械そのものは体温計と大差ないくらい手軽で、操作も同様。あまりにお手軽すぎて、その割に、たとえばハサミで皮膚を切れば血が出る、というような因果関係がはっきり見えないのです。




