85 水の浄化をめざして 2001年2月
85 保護区はいつも現在進行 すずがも通信126号 2001年2月
水の浄化をめざして
畔の枯草の中に、丸く切り抜いた板が2枚、ぽんぽんと置いてありました。1枚はオレンジ色、もう1枚は緑色です。何かの目印?
いいえ。これは浄化池の水の流入口を修理した跡です。12月から1月にかけて、非常勤スタッフの学生さんたちが冬休みにせっせと通ってくれたおかげで、地味でわりあい目立たないタイプの管理作業がずいぶん進みました。これもそのひとつ。コンパネと呼ばれる片面がつるつるに塗装された耐水ベニヤで、耐久性を増すために、もう片面にペンキを塗って準備してありました。
松板で土留めをした水口は、造成後3年を経過して、そろそろ板や丸太杭もいたんできました。それよりなにより、カニさん、ザリガニさん、ところによってはカメさんまで手(足や肢)を貸して、どんどん穴をあけてくれています。浄化池1枚ごとに水位調整ができるはずだったのに、昨年やった補修作業からはずれたところは、もう何枚の池がひとつながりになって水が流れている始末。
2つの系列、各3段、1段をそれぞれ4枚ずつにわけた新浄化池。中央に柳の古木が茂った4段目(棚田の13枚目)はどちらの系列も池は1枚だけ。5、6段目は両系列共通で、昔の「田の字池」を中心にしているところから、旧田の字池上・旧田の字池下と呼んでいることが多いです。旧田の字池にかかるところは、トラクターもめったに入らず、ふだんの管理作業からはほとんどはずれている場所。草刈りやトラクターがけといったこまめな日常管理はだいたい1~4段目までで、それも東側の三系列の4段目(棚田の13枚目)は地盤が極端に悪く、トラクターが入れないため、放置してアシ原育成・保存地域としています。
さて、秋以降、これまでと少々様子が異なる水管理を進めているところです。もともと、保護区全体の湿地をうるおす主要水源は、千鳥橋の近くにある通称「どぶ池」で、行徳地域(それも駅周辺等の商業地域)の雑排水がためられている遊水池です。要するに、「極端に汚濁が進んだ生活排水」―どぶ水―が原水。悲しくなるくらい、汚れているのですよ。
浄化池で太陽・大気・それに生物ぜんたいに助けられて営々と浄化されつつ流下し、多くの生きものを養ういのちの水になるというどぶ水の浄化過程は、堂々たる水のリサイクルです。かかわっている私たちみんなの誇り、かつ、よそから来られた方が一様に感動してくださることでもあります。それでもともかく、まっとうな原水ではありません。昨春、せっかくたくさん産卵されたアカガエルの卵塊からふ化したオタマジャクシがあまりにも少なかったため、もう少しなんとかできないか、ということになりました。




