84 夜の保護区 2001年2月
84 鳥の国から すずがも通信126号 2001年2月
夜の保護区
およそ1ヶ月ぶりに保護区に入った1月12日(金)晴。この日の夜、用事の帰りに保護区の中を歩いてみました。昼間見ているかぎりでは、池にはほとんどカモが見られません。でも夜は、歩くにつれて、次々にカモが鳴いて飛び立ちます。コガモの声がけっこう耳につきましたが、あとはカルガモ(マガモだったのかも知れません)くらいしかわからず、ヒドリガモ、オナガガモの声は聞かれませんでした。数はそれほど多くはなく、せいぜい10羽くらいの小群でしたが、ほとんどどの池にもカモが入っていました。十六夜の月がこうこうと照りわたり、湾岸道路のライトやでっかくてひどく目障りな「LG」の広告塔であたりは明るく、できかけの霜柱のシャリシャリした踏み心地もよくて、心楽しい帰路でした。いやあ、やっぱり保護区の中はいいなあ。
今冬は、海との連絡がよいのか(京葉線沿いの高圧線がとりはらわれたのがようやくきいてきたのか)、意外な種類がひょっこり姿を見せてくれることが多いような気がします。前回に書かせていただいたコハクチョウに始まって、ほとんど毎日のようにハジロカイツブリ(複数)とミミカイツブリが見られています。カンムリカイツブリは一望して6,7羽が必ず見られます。
セグロカモメの中にただのカモメがまじるのも、もう珍しくなくなりました。ここ何日かは「シロいカモメ」たち(若鳥で、体格もわりあい大きめで、たぶんシロカモメでよいのでしょう。当歳の幼鳥羽のと、2年目のほとんどまっ白なのと、たぶん3年目にあたる、飛んだところは成鳥羽に見えるのと、少なくとも3個体)が時々姿を見せます。ミサゴも週1,2回の割で見られています。なかなかよい気分。
もっと珍しいところになると、1月10日のウミアイサ♂1羽、それに7日の日曜、昼ごろのほんの1時間少々だけいてくれたトモエガモ10羽!うれしかったですねえ。♂7羽、♀3羽が観察舎真正面の干潟で休むオナガガモにまじっていて、見つけてくれた「すずがも通信」の清水編集長、ぼんやり見ていて気がつかなかった常連さんともども、大喜びしました。やったね。
「もうそろそろ禽舎の清掃どきですね。お正月、あれだけきれいにしたのに、ほとんどいつもの姿に戻っちゃって」
最若手スタッフのあゆみちゃん。冬休み中せっせと通ってくれて、大掃除のほとんどを一緒にやっただけに、感慨もひとしお。でも、げっそりした様子ではなくて、にこやかに言ってくれました。いつの日か、「今日は何をやりましょうか。だいたいどの仕事もきりがついているんですけれど」とゆとりを持って言える日がくるかも知れない‥‥‥ほんとかなあ。
21世紀を迎えて、心がけだけは、そんなゆとりを夢見ている鳥の国です。




