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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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83 ひさびさの保護区   2001年2月

83 鳥の国から  すずがも通信126号 2001年2月

   ひさびさの保護区


ピイ―イ

 さっきから、盛んに声が聞こえます。タカ類であることは間違いがないけれど、姿がいっこうに見えません。ひとつところで鳴いているからには、きっと木のてっぺんに違いない‥‥‥あっ、いた!松の木の上に止まったタカの後ろ姿。ノスリです。そこへもう1羽のタカが飛んできました。距離は少し離れていたけれど、こちらはチュウヒ。ノスリはふっと舞い上がって姿を消し、声も止みました。

 同時にタカ2種。わくわくしてしまいます。ずっとあわただしくて、保護区に足を踏み入れるのは1ヵ月ぶりの1月12日のこと。入って間もない直線ルートのところで、食べられたばかりのホシハジロの残骸を見つけて、オオタカ君たちも健在なんだ、と思っていたところに、この声と姿。

 このところあまり鳥がいないんですよ、と聞いていた竹内ヶ原の観察壁に入ると、晩秋にアシを切り開けて水面が見えるようにした旧淡水池のきわで、オオバンが餌を食べている姿が目に入りました。1羽、2羽、3羽、4羽もいるではありませんか。草を刈ったら鳥がいなくなったみたい、とがっかりしていたお兄さんたちに話してあげなくちゃ。ホシハジロやカワウも泳いでいます。

 旧淡水池はいいけれど、竹内ヶ原の方はほんとうになんにもいないなあ。視野が開けて、なおかつ北風が防げるように、と草の刈り方を工夫しただけのことはあって、見たいところはちゃんと見えるように、それでいて隠れ場の茂みは残るように、感じのよい仕上がりになっているのに、なんで鳥がいないのかなあ……

 双眼鏡でざっと見まわしていると、ちらっと鳥が動きました。くっきりとした白黒もよう。クサシギです。今年は越冬してくれているのです。観察壁のすぐ下では、ハクセキレイが2羽で餌を探しています。悪くないじゃない。

 あれっ、中央の桜の木の下にチュウヒが止まってる。これではカモが入れるわけはないよねえ。

 道ぎわのしげみの中では、オオジュリンやアオジの声が盛んに聞こえます。海面を隔てた対岸のコロニーからも、求愛中のカワウのうなるような声が聞こえてきます。長靴池に近づくあたりで、海ぎわの松の木から飛び立ったタカ。あっ、オオタカだ。コサギを追いかけています。力強い羽ばたきでぐんぐん追いせまるオオタカ。コサギはギャーッと悲鳴を上げて、あわてふためいた様子で逃げます。手に汗を握る一瞬、コサギはあやういところでかろうじて攻撃をかわし、オオタカは姿を消しました。


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