82 試験問題 2000年12月
82 保護区はいつも現在進行 すずがも通信125号 2000年12月
試験問題
干上げ完成・トラクターがけを目前に控えていたのにばっちり雨にたたられて、とうとう秋の天地返しを断念した竹内ヶ原。そのかわり、と言っては何ですが、これまでとひと味違った水管理を始めています。
海面よりも低いため、水がたまるだけで出て行かない「長靴池」から常時ポンプ揚水をして、いったん底が見えるくらいまで水位を下げようということにしました。ポンプアップした水は、トラクターがけ期間中も水を入れたままにしていた3ヶ所の棚田と2ヶ所の小さい池に入れていましたが、天地返しを断念して水入れを再開してからは、三系列の5枚目以下(新浄化池東側の系列の二段目から下)をこの水であかなうことにしています。もっとも、長靴池はあと2、3週間で底が見えるはずなので、その後は三系列のどれかの棚田だけを長靴池からの水で維持、他はこれまでどおりどぶ池からの水、という使い分けをすることになると思います。
長靴池はもともとどぶ池からの揚水でできている池ですが、2つの系列、合計26枚の棚田をめぐって、リンや窒素の大半を使い果たした上で入る水なので、原水よりは浄化がかなり進んでいることになります。その分藻類などの有機物は増えていますけれど。この水を中心にした池は、カエルやタニシにとって若干住みやすくなるのではないか、というのがテーマ。時にアオコが出る長靴池そのものの状態改善も期待しています。
さて、若手男衆たち中心に、目下二律背反の命題に取り組んでいます。
「北風を防ぐしげみを残し、なおかつ北と南にある観察壁からの見通しをよくするには、どのように草を刈るべきか」
「池までの水面が開けひろげにはならないように、それでいて、蓮が広がって行くための水面を開くにはどうするか」
こう書くと、いかにも高級そうな課題に見えますが、こんなのもあり。
「幅15m、奥行き20m、深さ10㎝の池がある。毎日10㎜ずつ水が減る。1日に80トンの揚水能力のあるポンプで水を入れるには、何時間ずつ揚水すれば干上がらないようにできるか」
中学生の問題だよ、とけしかけたら、けっこうみなさん単位の計算でつまずきました。どうぞ試算してみてください。保護区管理には理科や社会や国語や算数の力が必要とされますが、算数が出ると、約何名かはきまってげっそりした顔をします。
昨年からの懸案だった、収穫した稲を南行徳小学校に持ち込み、同校に保存してある農具を使って脱穀等をやってみる、というプランも、近々に実行予定。脱穀機と選別機はあるけれど、中間に必要な籾摺り機がないそうで、魚のアラ切りで使い古してザラザラになったまな板と丸太を使って、手作業の籾すりをごりごり試しているところ。うまく行くかなあ。
もう少しで農閑期、秋の作業の区切りもあとひと息。トラクターがけ断念は残念だけれど、あとはどうやら乗り切れそう。いつもいつも現在進行なんだから、体だけではなくて、頭もしっかり働かせなくっちゃね。
苦楽ともども、何とか現在進行中です。




