81 トラクターがけ 断念
81 保護区はいつも現在進行 すずがも通信125号 2000年12月
トラクターがけ 断念
うーん、今日の雨はどう降るか。もしかして予報がはずれて、霧雨程度で上りはしないだろうか。
昼すぎから降り出した雨は、ほんとうにおとなしやかなこまかい霧雨でした。夕方ごろからだんだん本降り。夜に入ると、ざあざあ激しい雨音。あーあ、明日は晴れるっていう予報なんだけどなあ。
一夜明けて輝かしい朝日。なんともさわやかな気持のよい晴天です。ともかく様子を見てこよう。
2,3㎝の降雨量ではないかとのあわい期待は、昨日までからからに乾いていた下池を一瞥して、あっさり消えました。一面の水。雨がなければ来週にはトラクターを入れようと考えていた竹内ヶ原。降雨量が少なければぎりぎり1週間待って、なんとか耕したいと思っていたのに、こちらも一面の水。
タイムリミットです。仕方ない。今年の秋のトラクターがけの大半は、あきらめることになりました。かえすがえすもうらめしや~~~、という10月20日の雨のお話です。
いやあ、ともかく、あと3日でトラクターを入れよう、と考えたとたん、みごとに雨が降るのです。露地まきの農作物には理想的。でも、わが保護区のように粘土質の重い土で、放っておけば水がたまって池になる場所で、天日乾燥の上でぜんたいを耕したいという時には、ほどよい降雨は最悪ということが十二分にわかりました。
水があるとトラクターが入れないわけではありません。むしろ車体に浮力がつくし、ローターもきれいに洗われて、よくよく変なはまり方をしない限りは、水気の残る土を耕すよりはるかに楽で、効率も上がります。
下ごしらえに草を刈るのはむろん水がない方が楽ですし、草の刈り倒しとかみこなしを同時にやってしまうハンマーナイフモア(オーレック社の製品なので、オーレック君と呼んでいます)は水には入れず、トラクターよりもぬかるみに弱いので、そのためにも水を干上げる方が得策です。しかし、乾かしてからトラクターをかけようとしたのは、作業を楽にするためだけでなく、泥を天日と空気にさらすためでした。
もともと生活排水を水源としている保護区の湿地は、水はきわめて汚れた(栄養がききすぎた)状態で入ってくるため、底の泥がまっ黒で臭い嫌気的な状態になり、生きものが住みにくくなるので、天地返しして天日に当て、においがなく灰茶色のふつうの状態に戻すというのが、秋のトラクターがけの最大の目的。
ただし、秋は「生物が活発に動く季節―遅くも10月中・下旬―に水を戻す」のが原則。それを過ぎると、水中の生物は春まで少ないまま。
ま、お天気とお天道様には逆らえません。こういうときもあるさ。




