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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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79 コハクチョウとヘラサギ

79 鳥の国から  すずがも通信125号 2000年12月

   コハクチョウとヘラサギ


 そろそろお昼にしようかな、と裏口のらせん階段を上がって図書室に入った時です。ドタドタとあわただしい足音。

「白鳥!白鳥がいますよ」

 なんと3羽!それも真正面の鈴が浦の干潟で、ゆうゆうとすわりこんでいるではありませんか。コハクチョウ。成鳥2羽と若鳥1羽なので、一家族でしょう。よほど疲れているのか、それともくつろぎきっているのか、まわりを気にする様子も見られず、ゆうぜんとしています。

 このところずいぶん長いこと、ハクチョウの記録はありませんでした。そういえば、正面のJR京葉線沿いに高圧鉄塔が立てられてからは、ハクチョウ類は一度も入っていないかもしれません。高圧線は4年前に撤去されたので、海からの鳥の出入りはずっと楽になりました。それにしても、コハクチョウが家族群で見られたのは初めてです。11月8日水曜日。午前中ずっといてくれたのに、平日でお客様がごく少なかったのがちょっと残念。

 16時50分、首をしきりに上下しはじめて落ちつかない様子になってから間もなく、3羽hほとんど助走もなく舞い上がり、初めは北から北東へ、次いで東寄りに向きを転じて飛び去って行ったそうです。今ごろは印旛沼か、霞ケ浦か、古徳沼か、それとも本当はそこにいるつもりだったはずの阿武隈川あたりに戻って、仲間と合流しているかもしれません。

 この秋はけっこうめずらしいお客たちが多いのです。とてもうれしかったのは、9月15日からしばらく滞在してくれたツルシギ若鳥1羽。淡水湿地のシンボルとして、待ちに待っていた種類です。本当は春一番に渡来する新浜の春告げ鳥なので、春先の出現を期待していたのですが、秋でもうれしい。

9月30日夕刻、アオアシシギや、これも珍客のクサシギなどがいっしょにいるところに、なんとオオタカが突っ込んだそうです。この時ばかりは、オオタカの狩の失敗をみんなして喜んだとのこと。それ以来、ツルシギも姿を消しました。

 10月8日、第二日曜の探鳥会でヘラサギの若鳥が見つかりました。関東では(本州では?)ヘラサギの記録はごく少ないためか、観察舎は時ならぬヘラサギ・ブームにふりまわされ、どっと詰めかけた珍鳥ハンターさんに仰天。

 ヘラサギ君は17日まで滞在してくれて、日中はたいてい百合が浜対岸(観察舎からは見えない場所)か下北岬で休んでいました。時には観察舎真正面の鈴が浦やウラギク湿地に出てきたり、すぐ近くの小さな岬(註 今はさぎどまりと呼ばれている)でサギといっしょに寝ていたりして、見に来たお客様を大喜びさせてくれました。15日の日曜の定例観察会に来られた方は、ヘラサギ人気のおかげで、なんと105名!



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