78 しんどいチャレンジ 2000年10月
78 保護区はいつも現在進行 すずがも通信124号 2000年10月
しんどいチャレンジ
トラクターがけは、水を干上げてぱさぱさの畑状にするか、水がついたままでかけるか、どちらかです。中途半端なぬかるみ状態だと、泥が重くてたいへん。
植生のコントロールのためだけであれば、水をつけたままのほうが生きものにとって都合がよいのですが、あいにくこれでは底泥に空気を通わせることができず、底質の改善が期待できません。また一方では、トラクターがけに先立つ草刈りは、水をつけたままではできません。結局のところ、一系列ずつ干し上げる、草刈りとトラクターがけが終わったら水を戻す、秋の水戻しの最終は10月中(できれば中旬まで)、というところまでは決まっています。
何も考えずに、一気にぜんぶ干上げてしまってよければ楽なんですけどね。タニシ等々、生きものにとってはおそろしく迷惑な作業になってしまうのです。一段4枚ずつの棚田の1枚に水を残す、というのは、どうやって水を維持するか、というややこしい問題に加えて、隣や下の棚田が湿ったままになってしまうのでは、とか、けっこうな難題。でも、まあ、できるところまでやってみよう。最初の干上げを始めてから、今日で3日。毎日毎日問題山積み。さて、本日の問題は何かな。
二つ目のチャレンジ。保護区管理のトップバッターである大黒柱1号氏が、ひどい夏風邪でダウンしました。回復が思いのほか遅かったので、この際だから、9月いっぱいは草刈り機もトラクターも扱わず、デスクワークや室内作業に専念しよう、ということにしてしまったのです。1号氏のこと、1ヵ月ではとうてい終わらないほどデスクワークを抱え込んでいます。さあて、後にひかえる大黒柱2号氏と私はネを上げそう。こっちのチャレンジのほうが大きいかもしれない。間の悪いことに、9月は学会で院生さんたちがバイトに来られないし、あと有力メンバーのうちの2人が通常日数来られないし‥‥‥
ま、何ごともチャンス。悪条件があればあるほど、逆境に立てば立つほど、乗り切るべき目標がつかみやすくて、動きが楽なのじゃないか、と思います。クリアすべきことがぱっと見えるもの。ともかく、1号氏の後をかろうじて守るのにチャレンジ中。いやあ、たいへん。1号氏も、地図作りや図入りの作業用語解説をはじめ、先々効力を発揮するはずの資料づくりに黙々と取り組んでいます。
昨年とはひと味違った管理作用体制、さあ、どこまで進むか、こけるか。
昨年に引き続き、今年も8月21・22日の2日間、先生方3名がボランティア研修に来てくださいました。鴨川市長狭高校の北鹿渡賢一・行徳高校の米山知論記・浦安高校の新谷直人のお三方です。今年も蒸し暑い過酷な2日間でしたが、おかげで三島池のカワセミ繁殖用の崖が更に拡大し、土嚢を積んだ島が池の中に3ヶ所できました。この時掘っていただいたヒメガマを後に旧淡水池に移植しました。来春のヨシゴイ繁殖を期待しています。
昨年同様、きつい作業でしたが、いきいきと励んでいただいたと思います。近くの先生方は、生徒さんを連れてまた来ますと言ってくださいました。それにしても、先々も夏休み時期であろうボランティア研修の受け入れを考えた時、暑い盛りに行なう活動として、充実感や達成感重視、体力勝負の今の作業メニューが最適なものかどうか、考えさせられました。
あーあ、いつも現在進行、というのは、相当しんどいことなんだ、と、今さらのように身にしみている今日この頃です。




