77 水管理 ミリ単位 2000年10月
77 保護区はいつも現在進行 すずがも通信124号 2000年10月
水管理、ミリ単位
目下、二大チャレンジのまっただなかです。正直言って、もう、ネを上げそう。
保護区の中心部にある竹内ヶ原―上池。ひとつながりの湿地としてはいちばん広く、計画の段階から、淡水性のシギを呼ぶ中心はここ、と設定された場所です。繁殖期には水位を高めに、繁殖期がすぎたら水を落としてシギ・チドリ用に思いきり低く、そのあとはカモ用に再度高く、春先にはまた低く、と、おおざっぱな水位管理の方針は決まっています。昨年の記録からわかっていることは、シギ・チドリが好んで入る水位とあまり入りたがらない水位の差というのは、ほんの数ミリであるということ。
ほとんど毎日のように記録している水位の例では、「竹内ヶ原出口」という測定ポイントで、標識の杭の上から(上から、です。ですから、数値が大きくなれば大きくなるほど、水位は低くなっているという理屈なので、どうぞよろしく)測って20・6㎝という水位だと、竹内ヶ原はほぼ全体に水がついていて、シギは入りません。これが、21・5㎝くらいになると、半分近くの泥底が出て、シギが入ります。この数値が出て一日くらい水を止めたままにしておくと、泥底の大半が露出するようになり、二日も経たずに全体が完全に干上がってしまいます。
今年は、シギが入れる水位(つまり、からからになる直前の状態)を9月の第二日曜まで続けてみよう、ということにしています。ちなみに、これはチャレンジのうちではありません。去年やってみて、やり方はほぼつかめているので、ただこまかく神経を使いさえすればよいだけ。やっぱり理屈通りには行かなくて、ちょっと乾きすぎかな(一回乾かしすぎてしまうと、もうシギ・チドリはあまり入ってくれません)、とか、ぴったりだったのに雨が降った、とか。それでもクサシギやタカブシギなど典型的な淡水性のシギが定着してくれたのには、みんなで感激しました。なせばなる!
保護区の中の管理作業のピークは、8月末から10月はじめにかけての秋のトラクターがけの時期。機械類が順調に機嫌よく動いてくれて、トラクターがはまりさえしなければ、無茶苦茶につらいわけではありません。しかし、そうは問屋がおろしてくれない。昨秋、トラクターがはまった回数なんざ、もう、誰も覚えていないほどでしたっけ。私は実際のしんどい救出作業はしていないのだけれど、とても見てられない。
さて、それにもかかわらずの二大チャレンジ。
まずひとつは、新浄化池のふたつの系列、計26枚の棚田のトラクターがけにあたって、一系列の一段につき各1枚、水を残したままにしてみよう、ということ。




