表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
74/90

74 遊歩道の延長  2000年8月

74 保護区はいつも現在進行  すずがも通信123号 2000年8月

   遊歩道の延長


 何としてでも夏休みに間に合わせたいのです。「みどりの国」の遊歩道の延長を。

 現在の状態で緑地の開放を続けても、来られた方に満足していただけないのはわかりきっています。「何もないし、鳥もいない」というご意見がノートに書かれていました。

 つまらないからもう来ない、というだけなら、まだよいのです。こんなところ、なんでもったいつけて、人に利用させないんだ、なんで鳥のことばかり大切にするんだ、もっと全体に自由に入れるようにしろ、どうせ鳥だって多くないんだし、というご意見は、もしかすると、絶対多数派なのではないかしら。

絶対多数派なんだと私は思っています。数の論理や市民の希望といった観点から鳥の保護がなりたつほど、日本は成熟していない。それに抗して、首都圏まっただなか、市街地のどまんなかにある保護区を成立させ続けてゆくためには、それなりの覚悟がいると思います。臨機応変に、タイミングを捕らえて。つまりは、せっぱつまった設定がいつもいつもどこかにある。夏休みに家族で来られた方が、つまらないからもう来ない、という状態のままでいたら、保護区の将来まで危うい、というのが私の危機感。

 まあ、そんなことはさておき、諸般の事情が許せば、あと10日の間に林内の遊歩道を少しでも延長します。設定した自分たちが歩いても、それなりにけっこう楽しい道と思っています。そのために踏んばるのは、楽しい努力です。

 ベンチ作りと遊歩道延長計画に手をとられて、ずっと雨が続いたこともあって、保護区の中は観察路の草刈り以外にはこのところあまり手をかけられませんでした。それでも、ちゃんと5月21日と6月28日に田植えを2回やりましたよ。昨年よりも面積がふえ、雑草の勢いもよくて、田の草とりに手がかかりそうですが、しっかり梅雨が続いていてくれて、台風まで来たおかげで、ぜんたいはみずみずしく、水の維持に関してはこのところ苦労知らず。まだ乾燥に対する備えをせずにすんでいます。

 先を読んで布石。ゆっくりでよいから着実に。そのためには、まずは現状把握をしっかりと。基本的な注意事項は少しずつわかってきたけれど、実践上のポイントをつかむのはまだまだだなあ。

さて、ほんとうに、そんなことはどうでもいいのです。いっしょにやってくれる人たちが、いっしょにやる仕事そのものを楽しんでくれることができれば、保護区の維持管理なんて簡単なことなのではないかな。なぜか、みんな楽しそうにやっているし、時には「どうにも止まらない」状態になってしまうほど、いっしょうけんめいやってくれるし。

 危機感や不安は私の趣味の領域なんだ。保護区はいつも現在進行。ああ、やれやれ。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ