74 遊歩道の延長 2000年8月
74 保護区はいつも現在進行 すずがも通信123号 2000年8月
遊歩道の延長
何としてでも夏休みに間に合わせたいのです。「みどりの国」の遊歩道の延長を。
現在の状態で緑地の開放を続けても、来られた方に満足していただけないのはわかりきっています。「何もないし、鳥もいない」というご意見がノートに書かれていました。
つまらないからもう来ない、というだけなら、まだよいのです。こんなところ、なんでもったいつけて、人に利用させないんだ、なんで鳥のことばかり大切にするんだ、もっと全体に自由に入れるようにしろ、どうせ鳥だって多くないんだし、というご意見は、もしかすると、絶対多数派なのではないかしら。
絶対多数派なんだと私は思っています。数の論理や市民の希望といった観点から鳥の保護がなりたつほど、日本は成熟していない。それに抗して、首都圏まっただなか、市街地のどまんなかにある保護区を成立させ続けてゆくためには、それなりの覚悟がいると思います。臨機応変に、タイミングを捕らえて。つまりは、せっぱつまった設定がいつもいつもどこかにある。夏休みに家族で来られた方が、つまらないからもう来ない、という状態のままでいたら、保護区の将来まで危うい、というのが私の危機感。
まあ、そんなことはさておき、諸般の事情が許せば、あと10日の間に林内の遊歩道を少しでも延長します。設定した自分たちが歩いても、それなりにけっこう楽しい道と思っています。そのために踏んばるのは、楽しい努力です。
ベンチ作りと遊歩道延長計画に手をとられて、ずっと雨が続いたこともあって、保護区の中は観察路の草刈り以外にはこのところあまり手をかけられませんでした。それでも、ちゃんと5月21日と6月28日に田植えを2回やりましたよ。昨年よりも面積がふえ、雑草の勢いもよくて、田の草とりに手がかかりそうですが、しっかり梅雨が続いていてくれて、台風まで来たおかげで、ぜんたいはみずみずしく、水の維持に関してはこのところ苦労知らず。まだ乾燥に対する備えをせずにすんでいます。
先を読んで布石。ゆっくりでよいから着実に。そのためには、まずは現状把握をしっかりと。基本的な注意事項は少しずつわかってきたけれど、実践上のポイントをつかむのはまだまだだなあ。
さて、ほんとうに、そんなことはどうでもいいのです。いっしょにやってくれる人たちが、いっしょにやる仕事そのものを楽しんでくれることができれば、保護区の維持管理なんて簡単なことなのではないかな。なぜか、みんな楽しそうにやっているし、時には「どうにも止まらない」状態になってしまうほど、いっしょうけんめいやってくれるし。
危機感や不安は私の趣味の領域なんだ。保護区はいつも現在進行。ああ、やれやれ。




