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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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73 カワウベンチ  2000年8月

73 保護区はいつも現在進行   すずがも通信123号 2000年8月

   カワウベンチ


「今日は風があまりないんで、流木拾いに行ってしまおうかと思ってます」

 一昨年の秋、太い丸太が吹き寄せられている小さな入江を見つけて以来、いつかひまができたら、いかだでも組んで運んでおきたいね、と言い合っていたところです。ついにその日が来たか。

 4月29日の「みどりの日」、保護区西側の緑地が土・日・祝日に限り、一般に開放されることになりました。ごく短い距離ながら、林の中を歩けるようなコースも作られて、そのコースに限っては評判は意外なほどよいのですが、全体を一周したい、とか、水辺を歩きたい、というのは当然の人情。でも、もともと鳥の保護を優先している場所なのですから、人間が自由に利用できるのはこの一角に止めたいのです。ついては、来られた方がある程度納得し、満足してくださるような内容が必要と思います。

 そこで考えたのが「カワウベンチ」。カワウたちが巣作りをしているのだから、安全に見守ってやりましょう、という掲示を終点に出し、合わせて要望の多いベンチを流木で作り、カワウの首をつけて、きた方に楽しんでいただこう、というものです。さて、その第一歩が流木集め。

 小雨の降る中、大黒柱1・2号氏と友の会要員の高橋知宏氏の男衆3人組は、けっこう楽しそうに筏を組んだり、ボートをこいだり、漂着した舟まで拾った、と、意気揚々と帰ってきました。

 昨年千葉県に買ってもらったチェンソーと、チェンソー扱いの安全教育を受けている大黒柱2号氏の達夫さんが、重い丸太を切ったり、運んだり、目立たないところで着々と下準備。こと木工とか造形となると、1号氏の一樹くんと第三の男こと川上さんの目の色が変わります。「遺伝子に組み込まれているんですよ、きっと。木にさわってしまうと、どうにも止まらなくなってしまいますね」

 あれこれと試行錯誤を繰り返しながら、完成した3台のベンチを7月6日に緑地に運びました。ユーモラスな顔をしたカワウの首がまだ2つあるので、またひまができたら次のトライが始まることでしょう。楽しんでいただけるとよいのですが。座り心地はとてもすてきでしたよ。

 役所のゴーサインと資材提供さえあれば、すぐに造作にかかれるように、緑地の中の遊歩道候補コースもつけました。太いヌルデの大木(ヌルデがこんなに大きくなるものとは知りませんでした)の下を塗って、水面もちらちら見えるというコースと、舗装道路のすぐきわにあるのに、下生えにうまく隠されて、どこを歩いているかよくわからないようなコースが平行しています。けっこう感じのよい仕上がりにできるのではないかと思います。

 できれば夏休みには一部でもオープンしたい、そのために使える日はあと10日。なんでそんなにせっぱつまった設定をするのさ、と言われそうですけれど‥‥‥なんでそんなにせっぱつまった設定をするんだろう。



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