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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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7 みなと新池現在進行 セイタカシギ、ヒナかえる  1996年8月

すずがも通信99号 1996年8月 みなと新池現在進行


 やりました! 再整備工事で新しくできた池で、ついにセイタカシギのヒナがかえったのであります。ここ数年来、カラスにやられたり、あきらめて飛び去ったりして、保護区でのセイタカシギの繁殖は成功していませんでした。できたばかりのむき出し、丸見えの池のまんなかの島で一組の親鳥が卵を暖めはじめた時には、どうせだめだろうけど、ともかくよかったね、と言い合ったものです。しかし親鳥はせっせとカラスを追い払い、6月19日、ついにヒナの誕生にこぎつけたのでした。

 雨水がたまっているだけの池には餌がないだろう、と気にしていたら、ふ化してから3日ほどで家族はおとなりのみなと新池の棚田に移動しました。そして、知るかぎりでは、棚田で無事に過ごしているらしいのです。30日にもヒナ2羽が見られています。よかった、よかった。

 デコイもスピーカーもむなしく、導流堤上のコアジサシ繁殖はかないませんでした。しかし、新しく作られた岬には産卵が見られました。シロチドリは少なくとも一組、3羽のヒナがふ化したようです。3個の卵を抱いていたコアジサシは、残念ながら途中で卵をとられました。

 さて、今年のみなと新池はというと、「恐怖のふとんわた」ことアミミドロの生育時期がそろそろ終わったようで、思いのほか繁茂面積が少なく、ちょっとほっとしています。5月に様子を見た時にはどうなることかと不安でいっぱい。おまけに、ためしに引いてみたアミミドロには卵や稚魚が点々、ヤゴも少々。池全体をおおいつくした昨年のようになったら、どうすりゃいいんだ、と困り果てたものです。今年の繁茂面積はせいぜい水面の5分の1くらいでしょうか。もっと少ないかもしれません。除去作戦をやろうか、やらずにすまそうか、と、目下思案中。

 今年がんばっているのはヒシ。昨年までトチカガミだらけだった池本体の浅い部分は、ぜんぶヒシめく状態で、トチカガミはほんのちらほら。棚田の方ではヒメガマとタデの類が繁っています。トンボの発生もまあまあ。フナとメダカはおびただしく、ウシガエルの初年オタマもたくさんいます。水質はそこそこ、水草もほどよく繁って、見た目には悪くありません。7月に入ってからヒナを連れたカルガモやカイツブリの巣が見つかり、みなと新池もやっと本領発揮? でも、バンやオオバンはたぶん繁殖せず。まだまだ合格点はつけられそうにありません。期待されたヨシゴイは親さえ見られず。残念です。

 7月3日、新しい池から120羽あまりのカモが飛びたったのにびっくりしました。カルガモです。夏にこれほどのカモの群れを見るとは思ってもみませんでした。セイタカシギが繁殖した方ではなく、ほとんど干上がった状態のもう一面の方に入っていたようです。水がある裸地は大事なんだなあ、と改めて感心しました。

 来年の今ごろには、浄化用の棚田を含めて、旧淡水池から百合が浜にいたる一帯は大半が池や湿地になっているはず。繁殖する鳥が一種でも、一つがいでもふえてほしいなあ、と今から楽しみにしています。ただし、全部がアシ原や草原にかわってしまわないように、水面や泥地をしっかり開けておくためには、片手間ではすまない管理作業が必要。

 これからが正念場。身震いしてしまいます。どうなるでしょうか。


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