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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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67 白鳥まっ黒  2000年6月

67 鳥の国から  すずがも通信122号 2000年6月

   白鳥まっ黒


 えーっ、うっそー、このまっ黒けなのがうちのあの白鳥さん? なんで?

 4月29日、消防署からの電話で事件は始まりました。「行徳郵便局のそばの削渠の中に白鳥がいるという通報がありまして、保護したんですが、そちらに持って行ってよろしいでしょうか」

 市役所の道路管理課のトラックで運ばれてきたコブハクチョウ。削渠というのは、早い話が規模の大きなどぶのことです。なんで今どき、ハクチョウなんぞが落ちているのやら、とふしぎに思ってよくよく見ると、なんと丸浜川に放し飼いにしているはずのうちのコブ平くんではありませんか。どぶ泥で真っ黒けになってはいるものの、風切羽の切り方には見誤りようがありません。

 丸浜川と郵便局は、たっぷり2キロ近く離れています。コブ平くんは飛べないのですから、歩いて行くしかないはず。でも、行程のほとんどは暗渠なのです。出口も見えない暗いトンネルを、何を思ってのそのそ歩いて行ったのでしょう。

 丸浜川にかかる塩浜橋のすぐ下手に、福栄方面から流れ込んでいる排水路があります。50メートルほど上手にあるケーヨーホームセンターをすぎたあたりから、この排水路は暗渠になります。ここをたどって行ったとしか考えられません。

 消防署や道路管理課のみなさんのおかげで、無事に戻っては来たものの、どぶ泥の油分のせいか、汚れた羽は一向にきれいになりません。しばらくは禽舎暮らしをさせることにしています。ごきげんがよいはずもなく、当たり散らされる人間や、足が不自由な新入りのガチョウ君などは、けっこう迷惑。

 5月10日現在、ありがたいことに初夏恒例の入院ラッシュはまだ始まっていません。春先の低温がきいているのでしょう。4月14日、はやばやとカワラヒワの巣立ちビナが持ち込まれてぎょっとしました。親鳥に戻そうにも、拾ってから20時間以上を経過していてどうしようもなく、予想した通り翌日死んでしまったので、ヒナの世話スタートにはなりませんでした。目下、繁殖地整備の作業が大詰めを迎えているので、ラッシュが始まるのが少しでも遅いとほんとうに助かります。いつまでこの平和が続くか‥‥‥

 5月1日から1カ月間、青山ケンネルカレッジの実習生として小川昌世さんが来られています。昨日はコアジサシの繁殖場所整備、今日はセイタカシギ用の小島づくり、と、連日の肉体作業にも音を上げずにがんばっています。その彼女が5月8日、欠真間三角でバンの親子を見つけてくれました。ライオンズマンションの武田さんがほとんど独力でこつこつと環境改善を続けてこられたところです。ここ数年来、、バンのヒナは丸浜川ではほとんど見られていません。青大将のせいではないかと思っているのですが、道路からよく見える場所で親鳥がヒナに餌をやっているなんて、まさに快挙。


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