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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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62 土づくり  2000年2月

62 保護区はいつも現在進行  すずがも通信120号 2000年2月

   土づくり


 「農閑期」の今は、こつこつ地道な手入れができる時。ぜんぶで28枚ある新浄化池の棚田の間の水路は、工事終了から3年近くを経過し、くずれたり、ザリガニが穴をあけたりして、水がちゃんとたまらない棚田ができました。塩ビパイプとエルボ(直角に曲げてパイプをつなぐための部品)を使って水位調整をする、というのは、イギリスでボランティアをしてきた達ちゃんの見聞によるアイデアで、主だった池には既に設置し、毎日のように使っているのですが、それを棚田にも設置して微妙な水位調整もできるようにしよう、というのは大黒柱1号氏のプラン。さらに、これまで水路と土手で1m以上もの段差があり、階段で上下していた場所にもパイプを埋め、ゆるやかな傾斜路に変えて、トラクターや草刈機が通れるようにしよう、と計画を少しずつ進めています。

 もっとこまごました手入れとして、昨年から少しずつ意識している「土づくり」。保護区の管理の基本になる「生活排水の浄化」に、埋立地でやせた粘土の基盤より、作物がよく育つような肥えた土壌の方がより有効なのではないか、という漠然とした「感じ」。

ほんとうに「感じ」だけなのです。水質の専門家のご意見、というようなものではありません。「土壌」というのは、鉱物資源である砂や粘土を指すのではなく、それに生物が加わった状態を指すことば。基質となる鉱物はほんの2、3割で、残りはすべて微生物や分解された植物など、だから「土」は生きものなんだ、とかつての土壌学の授業で教わりました。水の浄化も「生物に食べてもらう」ことが基礎。だったら、「土」をもっといきいきさせられたらよいのではないかな、という「感じ」。

 よし、堆肥づくりに取り組もう、ということになりました。よけいな仕事をふやしただけかもしれないのですが。冬、カモメの餌付けにかかせないアナゴのアラは、夏になると余ってしまいます。ひと夏分のアラの残りに、おがくずをまぜたものが「第三の男」こと川上さんの労作によるアナゴ穴にいっぱいになっています。「第四の男」こと佐藤好伸さんが持ってきてくれた堆肥づくりのビデオをまねて、分解しかけのおがくずアナゴと、刈った草をサンドイッチ状に積みました。たいへんににおい芳しい作業でしたが、2日後、ぽっぽっと上がる湯気にちょっと満足。この秋、浄化池のトラクターがけの時にすきこみたいと思っています。

 さて、いろいろなことがじわーっと望ましい方向に動いているのだと思います。「手を動かさずに口だけ出す」立場になりつつあるオバサンの私。とっても楽しい‥‥‥楽だし。丸浜川架橋・緑地開放が目前にせまっているのでなければ、びくびくせずにいられるのですけれど。

 4月からは「コアジサシのための営巣場所づくり」が始まります。おひまがあったら、手を貸しにいらしてください。どうぞよろしく。




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