57 保護区はいつも現在進行 稲刈り 1999年12月
57 保護区はいつも現在進行 すずがも通信119号 1999年12月
いいぞいいぞ、ぴかぴかのマガモのつがいがいつものようにあぜにすわってる。
あれっ、なんだろう。
この秋、あぜに密生したアシをところどころ刈り取って地面が出るようにした「旧田の字池」の「まだら刈り」現場。いつ行っても何かしらカモがあぜに上がっていて、なかなかよい雰囲気なのです。アシの部分刈りのおかげで、背後の水面も見えるようになりました。その背後の水面で、まるで大蛇のようにうねり泳ぐ黒い影。
マスクラット。それも2頭がつながるようにぴったりくっついて泳いで行きます。やった! 今年も時たま姿を見てはいるけれど、複数個体を見るのはほんとうにひさしぶり。元気でやってくれているんだ。たぶん求愛行動中のつがいです。いつか親子の姿が見られるといいなあ。
秋のトラクターがけがほぼ終わり、2度ほどあった嵐のおかげで、保護区全体は満々と水をたたえています。それに、鳥もいるんです。カウント担当の川上さん、このところ保護区本土を一周して鳥をかぞえるのに、4時間近くかかっています。この夏、県立高校の先生方のボランティア研修重労働で岸をけずって緩傾斜にしていただいた三島池では、けずった岸にいつもカモが上がるようになりました。昨秋作った休憩用の台に、水面から歩いて上がれるように板で斜面をとりつけたところ、こちらも鳥やカメがいつも上がっています。「合格!」「合格!」 朱色のハンコが押してある、という気分。
10月11日、保護区初の稲刈りをやりました。森田さんご指導のもとに、「苗代奉行」の瑞香さんを中心に作ってきた水田で、ちゃんとお米ができたのです。戦時中よろしく、一升ビンに籾を入れてこつこつ精米してくださった森田さん。白く輝くお米は小粒でしたけれど、ほんとうにお米だ、とみな感激しました。
さて、稲刈り当日は晴天にめぐまれ、森田さんが丹精こめて準備してくださったハサ(稲架け)に、ずらりと稲束がかけ渡されたみごとさと言ったら。10名をこす参加者があり、お昼には森田さんの奥様が丹精こめて準備してくださったちらし寿司(ここのお米というわけではありませんが)をみなでごちそうになりました。
ハサにかけられた稲束は、カルガモやコガモが集まってきて、下の段はもののみごとに食いつくされてしまいました。嵐で吹き落されたものもあり、残った束はわずか。そのうち半分ほどを11月3日の市民まつりの飾りつけ用に持って行ったところ、とても好評で、見に来られた方に次々差し上げて、中には精米用に持って行った一升ビンと竹までもらって行かれた方もおられたとのこと。鳥にも人にもたっぷり楽しんでいただけたようです。あと少しだけ、稲束をとってあります。種籾と稲わら、それにほんのちょっぴりお米もとれるかしら。




