51 鳥の国から 鳩の怪死事件 1999年10月
51 鳥の国から すずがも通信118 1999年10月
鳩の怪死事件
9月になったというのに、いつまでも暑いですねえ。9日など34.5℃!じっとしていても汗が噴き出すし、風はないし。お昼前、なかなか餌を食べないセンダイムシクイを手にしたまま、ふと気づくと、同じ机の上の水入れのそばにハツカネズミがいて、小さな舌でぴちゃぴちゃ水を飲んでいるではありませんか。いくら何が出るかわからない野鳥病院の治療室だからと言って、真っ昼間に堂々とネズミが出ることはまずありません(ゴキブリはたまに出ますが)。よくよくのどがかわいたのでしょう。たっぷり5分以上も飲み続けていましたよ。
お盆もすぎた8月18日、カルガモの第4ラウンド目のヒナグループを放しました。これで今年のカルガモラッシュもようやく終わり、と、ほっとしたのも束の間。
「餌場に放し終えて手を洗っていたら、ピイピイって声が聞こえてきたんですよ」
この日の入院はU字溝に落ちた7羽のヒナグループ。その3日前にもヒナ2羽が入っており、どれも元気に育っています。また、毎日ウキクサとり。おとなりのコブハクチョウがとてもうらやましそうな顔でのぞくので、このごろは白鳥の分までウキクサとりをする羽目に。
8月18日と言えば、新聞、テレビ、週刊誌の話題にまでなったドバト怪死事件の発端となった日。実はまだ冷凍庫に鳩の死体が入ったままなのですけれど。この日の午後1時10分~40分の間に、傷病鳥舎を行き過ぎてから塩浜橋の手前までの路上に、14羽の殺されて間もないドバトが点々と置かれていた、というのが実情。
前日に江戸川放水路の河川敷に30羽あまり、更に18日夜に南部公園に8羽、21日の朝に塩浜橋手前に5羽(新鮮)、夕方1羽(死んでからやや時間がたつ)、22日朝に南部公園に5羽の死体が置かれ、その後は見つかっていません。
当初、外傷や羽毛の乱れが全く見られなかったことから、毒殺も疑われたのですが、19日の夕方解剖したところ、どれも非常に手慣れた同じやり方で、首をひねって殺してあることがわかりました。とらえ方も殺し方もえらく上手だ、と感心したものです。
南部公園の最後のものの1羽の足に針金とヒモがついていたこと、また、もう1羽もすねの羽毛が擦り切れ、つながれた可能性があること、おそらくこの2羽はおとりとして使われ、それが処分されたのだから、これで事件にはきりがつくのでは、という予想は当たったようです。変質者や青少年の悪質ないたずら、というよりは、ふえすぎた鳩に業を煮やした網猟や駆除などの経験者が捕殺したのではないかと思っているのですが、気色も後味も悪い事件でした。そのあと1週間以上もの間、報道機関の取材攻勢が続き、対応に当った嘉彪と川上さんはたいへんでした。




