50 保護区はいつも現在進行 コアジサシ誘致作戦の結果 1999年8月
50 保護区はいつも現在進行 すずがも通信117号 1999年8月
コアジサシ誘致作戦の結果
前号掲載したコアジサシ繁殖場づくり。セイタカシギ3組、コアジサシ2組、シロチドリとコチドリ各1組が少なくとも産卵はしてくれました。すごいです。
このうちのセイタカシギ2組、コアジサシ1組、シロチドリ1組については、ヒナがかえったはず、という確信があります。すごいでしょう。コアジサシについては、1975年の最後のコロニー繁殖成功以来、なんと24年ぶりのヒナだったはずなのです。
ああ、でも、「鳥の国から」に書いたように、無事に育ったのはセイタカシギ1羽だけなのですよ。「合格!」サインとは言えないですね。それとも、言えるのかな。
5月4日の作業終了からほんの10日もたつと、貝がらでまっ白にみえていた岬がうっすらと緑になりました。2か月後の現在は、繁殖場所全体に草原が復活しています。まあ、がんばった甲斐はあって、まだ植物の密度はまわりよりはるかに低いのですけれど。できれば今年の秋ごろから再度挑戦の作業を始めて、来年の繁殖時期には、5月初旬までに作業を終える場所と、5月末から6月初めに作業を終える場所と、繁殖場所を2ヶ所作ろうという相談をしています。
生態調査を仕事とされている「(株)新日本気象海洋」の大野さんから、整備直後に偶然撮影された保護区の航空写真をいただきました。上から見おろすと、貝殻をまいて仕上げた営巣場所はみごとに白くくっきりと浮きだしています。昨年秋に作った新しい観察ルートもはっきり見えます。竹内さんがアシを刈ってくださった北池の様子も、新浄化池のトラクターがけの様子も、なんと丸浜川のコブハクチョウまではっきり写っています。
あーあ、また、やったるで、という話になってしまった。やっぱり、ヒナが無事に育つところまで見たいもの。今年は大成功とはとても言えないけれど、生きもののゴーサインはもらえたみたいだし。
野鳥病院は目下農繁期のさなかで、大黒柱2号の達ちゃんをはじめ、スタッフの大半は傷病鳥の世話に手をとられる時期。でも、大黒柱1号の一樹君を中心に、ちょっとの時間を見つけては、少しずつ保護区の手入れが進んでいます。観察壁への目隠しのとりつけ、蓮のまわりの手入れ、観察ルートの橋かけ、etc,etc。「第三の男」こと川上さんなど、禽舎清掃に欠かせない235リットル入りの大きなコンポスター6個の配置がえをして管理しやすくし、その後6個ぜんぶの中身あけを一人で午後だけでやってしまいました。
それでも、すごい人には限りがなくて、中央区にお住まいの町田安男さん・節子さんのご夫妻は、5月末から毎週のようにマルタニシをはじめ、トウキョウダルマガエルやアマガエルのオタマや小ガエルを何十・何百匹もつかまえては、保護区の池に放すのを楽しみにしてくださっています。ご夫妻の主なフィールドは埼玉県の吉川で、「生きものがいっぱいいる田んぼでも、翌週に行ってみると、農薬をまいたあとで何もいなかったりするのよ」と言っておられました。来てくださるたびに、どうやったらこんなにカエルがとれるのか、と驚嘆するばかり。都会育ちの私など、ホウネンエビ、カイエビなど、生まれて初めて見る生きものも多く、観察会は、池への放流を兼ねて、ということが多くなっているほどです。いっぱい生き延びてくれるといいなあ。
保護区はいつも現在進行。見にいらしてください。




