49 保護区はいつも現在進行 水田づくり 1999年8月
49 保護区はいつも現在進行 すずがも通信117号 1999年8月
水田づくり
きれいに整列した苗が青々と水面に影を落としています。6月28日、予定より50日近くも遅れて、保護区の中で試しに田植えをしました。籾をまいて苗から作るのは今回が初めてです。まいた土がよくなかったのか、水やりが足りなかったのか、苗の生長がひどく遅くて、なかなか植える段になりませんでした。
植えたのは④系列の4枚目の棚田。上池の観察壁のすぐ隣です。畔や田の中の草を刈って運び出し、水面を埋めた緑藻類のアミミドロをとりのぞき、耕運機で代掻きをし、となりの3枚目から5枚目に水が行くように短縮の新しい水路を切り、清掃に使うゴムぞうきんで泥をきれいにならして、準備完了。「苗代奉行」こと担当の瑞香さんと、指導の森田さん、それにもちろんわれらが男衆3人組が、暇を見つけては作業を進めました。
28日は月曜で、日本獣医畜産大学のボランティアさんたちが来てくれる日。このところ保護区へ入るチャンスが少ない祐子さんも写真班で行ってもらい、全員を送り出したところで、私は留守居役。
実はこの日は台湾のテレビ局の取材があって、慣れない英語が飛び交い、大さわぎでした。カメラマンさんは、「アジアの2つの国の人どうしが話をするのに、英語しか使えないなんて、おかしいよね」と笑っておられました。
保護区の浄化池のモデルは水田。水田のような環境を再現するのが望みです。みなと池の棚田で稲を植えた時は、仕立てられた苗をいただきました。除草などの暇もなく、スズメやカルガモに食べられて、実りはほとんどなかったけれど、機会があったらまたやりたいとチャンスをねらっていました。
種籾から育てた今年はもっとわからないことだらけ。これはどうしよう、あれはどうやろう、の連続。ザリガニの穴から水はもるし、ものすごく勉強になります。保護区に入る時間がとれず作業にはノータッチの私まで、わくわくしてしまいます。
田植えの翌週、これも初めて、観察舎女性スタッフばかり5人で職員旅行に行きました。瑞香さんは、田んぼがあると必ずのぞきに行ってしまいます。保護区の田植えは遅れたけれど、秋になって、黄色い稲穂が見られたらうれしいだろうなあ。
NHKの「新日本探訪」で、能登半島の輪島の千枚田で、251枚もの棚田を2人で耕作しているご夫婦の話を見ました。保護区の棚田はたった28枚。ザリガニ穴くらいでめげちゃおられん。
ひとつくやしいこと。観察会などで通る北側から見ると、苗の植え方は一見バラバラ。南北ではなく東西方向へ植えたので、西側の位置からでないと整然とは見えません。みなさん、ぜひ西から見てね。




