44 鳥の国から 渡りのお客たち 1999年6月
44 鳥の国から すずがも通信116号 1999年6月
渡りのお客たち
ツツビー ツツビー
妙に聞き慣れた声なんだけど、あれ、何だっけ‥‥‥わが家(観察舎の管理人棟)の窓のすぐ外です。そーっと玄関からのぞくと、なんとヤマガラではありませんか。きれいな栗色のわき腹を見せて、間のびした声で呼びあっています。水路にもう一羽はいるようです。鳥をおぼえはじめたころによく行った明治神宮ではおなじみの鳥でしたが、行徳ではめったに見られません。移動の途中なのでしょう。4月24日のことです。
キョ―ロン キョ―ロン チリリ
こちらはアカハラのさえずり。初夏の軽井沢を思い出しました。やはりわが家の裏手の竹藪で歌ってくれました。
ジュイチイイ ジュイチイ
やったね。これも一瞬、何だっけ、と戸惑ったけれど、むろんジュウイチの声。どこかで放送でもしているのかと思ってしまいました。駅なんかで、よく鳥の声を流しているじゃありませんか。聞こえてきたのは北池寄りの鴨場の木立の方から。保護区初記録、聞いたのは私だけ。5月5日のこと。この日はカラスの群れに追われるサシバ(東南アジア方面から渡ってくるタカ)も見られたそうです。
渡りの時期には、ふだんお目にかかれないお客さまが通過して行きます。春の渡りは時期が短いけれど、秋のようにひっそりとではなく、さえずりを聞かせてくれる場合が多いので、思いがけない出会いもあります。それに、ぴっかぴかの夏羽に着がえたシギやチドリが干潟に1羽でも出てくれると、もう最高。
きわめつけのお客は、4月27日の朝、ほんの数分間だけ見られたカナダガン4羽(標準和名はシジュウカラガン)。同じものと思われる4羽が4月上旬に茨城県利根町、18日には埼玉県岩槻市、27日の午後3時ごろには埼玉県戸田市の彩湖(荒川の調整池)で見られたそうです。どうも、河口湖で放し飼いされ、自然繁殖して飛べるようになったものがいるそうで、これがあちこちを移動しているということらしいです。ほんのいっときのことでしたが、やはり雁はすてきですねえ。ちなみに、私は見そこね組です。




