4 再整備工事 第一期分終了 1996年6月
再整備工事 第一期分終了 すずがも通信98号 1996年6月
2月28日、第一期工事の検査が終了し、平成7年度分の行徳内陸性湿地再整備工事は無事に終わりました。
第一期工事で行われたのは、
○保護区本土部の北東側の大半を二面の池にする。
○湾岸道路に面した側に二カ所の岬を造成する。
○観察舎前の導流堤上に砂と砂利を入れ、コアジサシの繁殖に適した状態にする。
○池に揚水するためのポンプとパイプラインをつくる。
以上4点でした。平成8年度には
○保護区本土部の中央部(みなと新池と上池の間のほとんど全部)に水質浄化と水鳥誘致用の棚田を造成する。
○観察路及び観察壁(小屋)、案内板等を作る。
○池に揚水するための電気工事
などが行われることになっています。
この2年間で、保護区本土部の半分近くが新たに池や棚田となります。また、これまでになかった裸の砂地、砂利や大きな割栗による岬といった環境ができます。また、将来は保護区の中も来訪される利用者にある程度自由に見ていただけるような形で(鳥や自然をいためないもちろんです)整備されるわけです。
湿地の鳥を呼ぶための大きな外形づくりがこの再整備工事です。さて、鳥が実際に来るかこないかは、一にも二にも、これからのきめこまかい管理作業にかかってきます。
コアジサシのための導流堤の砂敷き工事を例に挙げましょう。ここは、これまでコアジサシが止まることが全くありませんでした。正確には、確か台風の後の高潮で、干潟やほかの止まり場が水没してまったくなくなった時に、数羽が下りたことが一例だけあったと思います。幅がせまく、人が通る道からもよく見えることから、コアジサシが繁殖する可能性はごく低いと最初から考えていました。しかし、なだらかな起伏をつけた砂、上にまいた貝殻等、見た目にはこれ以上ないようなよい状態が作られました。そこで、工事終了後、まずビニールシートを敷いて水たまりを作ろうとしました。これが見事に失敗。砂に少しでも接していると、水がどんどん吸われてしまい、水をためておけないということがわかりました。
次は粘土のデコイを置きました。試しに置いた6羽は、遠目にはけっこうよい出来でしたが、カラスが大喜び。1週間もしないうちに全部持って行かれてしまいました。次は板にとりつけて埋めたので、さすがのカラスもあきらめたようで、嘴などがちぎられただけでした。
仕上げはスピーカーで声を流すことでした。なんと、最初の日にはコアジサシが何度か降りて止まりました!導流堤に降りてくれさえすれば大成功だと思っていましたから、目標は達したわけです。降りたコアジサシはひどくびっくりした様子で、落ちつきなく首をのばしてあたりをきょろきょろ眺め、ほんの2、3分でまた飛び立ってしまいました。
コチドリは巣を作ってくれたようです。他の鳥にとっても、むきだしのコンクリートよりは砂地のほうが居心地がよさそうです。それにしても、夏をすぎたら除草が必要だし、水たまりづくりにもいずれ再挑戦してみたい。難儀なこっちゃ、かな。
再整備工事全体が「仏作って魂入れず」にならないように、やるべきことは、厳然ときりもなく存在しています。