38 鳥の国から 生き餌 1999年2月
38 鳥の国から すずがも通信第114号 1999年2月
生き餌
もそもそ、ちょんちょん、かさかさかさ‥‥‥野鳥病院の治療室に、新しい音が加わりました。ただでさえ、どさどさと飛びまわる3羽のツツドリをはじめ、晴れた空を見上げてごきげんでさえずるツバメやイワツバメ、バランスが悪いために段ボール箱の個室でしじゅうバタバタ暴れている鳩など、なんのかんのとにぎやかな部屋。新たに加わったのは、100グラム1300円也、という生きたコオロギ。神奈川県の自然保護センターから委嘱されて、傷ついたヨタカを2羽世話しておられた方が、年末に2羽とも相次いで死んでしまったため、餌用に購入されていたコオロギを寄贈してくださったのです。
むろん、ツツドリたちは大喜び。それでもちょっとこわいのか、箱にとりついて食べまくる、というわけではありません。ドッグフードや九官鳥用のマイナーフード、ジュースにつけたパンなどの代用食を食べるあいまにコオロギの箱をのぞきに来ます。もともと生きている餌を入院患者さんに与えるのは抵抗があって、それでもミルワームをやるのにはすっかり慣れたのですが、コオロギたちが丹念に触覚をなめてきれいにしたり、目玉をみがいているところを見るとねえ、うーん。
元気のないのからやっています。けっこう共食いが盛んらしく、毎日何匹も弱ったり死ぬものがあるので、虫を食べる小鳥たちはうるおっています。
いっしょに体長8センチほどもあるジャンボミルワームを2パックいただきました。ふだん見慣れたミルワームにくらべると、ぎょっとするほど巨大で、まさにドラゴン級。こちらはまだ誰にも食べさせていません。どうしようかなあ。
今年は大型ツグミ類がずいぶん多いような気がします。わが家の近くをちょっと歩くと、ツグミ、アカハラ、シロハラのどれかは必ず見られます。その分、木の実のなくなり方は早いようで、昨冬は枝でひからびてしまったトベラの赤い種子など、とうの昔になくなって、探しても果皮しか見当たりません。トキワサンザシの赤い実も、タチバナモドキのオレンジの実も、年が明けてからはトウネズミモチの黒い実も皆無。センダンの実もみるみる減っています。保護区の下池沿いの観察路ぎわでは、キカラスウリがまるで大きなミカンのようにきれいに色づいて、ごろごろとぶら下がっていますが、この実だけはまだ手つかずです。
大型ツグミとは逆に、シジュウカラ、ウグイス、カシラダカなどはいつもの年ほど見られません。ぜんぜんいないわけではないけれど、ちょっとさみしい。アオジやオオジュリンはたくさんいます。




