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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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37 周辺緑地の手入れー「緑の国」へのきっかけ 1998年12月

37 周辺緑地の手入れ―「緑の国」へのきっかけ  すずがも通信113号 1998年12月


 次なるやぶこぎは、周辺緑地(保護区の海面のまわりにずっと続いている20m巾の樹林帯)でした。今年度の予算で行徳高校側を中心に一部の手入れをすることになったので、どの木を伐採するか、どのように手を入れるかなどの具体案づくりを観察舎職員でやりたいと、千葉県の担当者に申し入れたら、ふたつ返事でOKだったのです。

 造成時に若木を植えたまま、15年ほど前に枝うちなどの手入れを一度やった他は、この樹林帯には何も手をつけていません。それなりに面白いところもありますが、密植しすぎた松などは、こみすぎて枯れている部分もあります。造林地や公園のように一様な手入れではなく、林地の様子に少し変化をつけたいということ、また、将来この樹林帯を人が利用することになるのであれば、それを見越した手入れを始めておきたいということ、さらには、せっかく繁殖を始めてくれたカワウが将来も困らないように、場合によってはカワウの領分と人間の領分を分けることも意識したい、等々。

 最初は、ともかくやみくもにやぶこぎ。ま横に張り出したキョウチクトウの太い枝をまたいだり、びっしり繁った実生の若木をかきわけたり。それほど歩きにくくはなかったけれど、いやあ、どこでもやぶこぎはしんどい。次は、ふみあとくらいのごく細い道をところどころにつけて、もう少しおちついて様子が見えるようにしよう、ということになりました。

 常勤スタッフぜんぶ(大黒柱1・2号氏と私)がこうしてざっと様子を見たところで、こんどは地図上に表示するための目印が必要になりました。こうなると、カワウが営巣を始めていない今こそ、一刻を争う絶好のチャンス。あーあ。

 コンクリートの堤防にペンキでマークをつけようというプランは、草がかぶっていて無理。結局、標識杭と布切れを結んだ竹を立てることにしました。50mの測量用のメートル縄(昔は間縄―けんなわ―と言った)を引いて、先を行って杭と竹を立てる役は例によって大黒柱1号の一樹君。私は長い竹を何本か引きずって後をついて行く役。コロニー内を歩いたため、カワウにはずいぶん迷惑をかけてしまい、この日以来群れがいっこうに落ちついてくれないのですが、これで遠くから見てもわかる目印ができました。この日のうちに、外周のブロック塀にも50mごとのマークをペンキで入れることができ、ひとまず見通しが明るくなりました。

 外周のマークをさらに25mごとにつけ終えたところで、いよいよブロックごとの樹林調査開始。私はいちおう林学科出身だし、大黒柱2号の達ちゃんは園芸高校造園科、非常勤の祐子さんは造園学部出身。にもかかわらず、みんな、何をどうしたらよいか、五里霧中に近い状態。それでもやったのですよ。要は、だいたいの樹林の様子をつかめばよろしい、というわけ。

 最初は二人がかりで1ブロック(25m×20mくらい)を終えるのに1時間近くかかってしまいました。さすがに最後の日には慣れてきて、一人が5~6ブロックを担当し、2時間ちょっとで終了。目下、調査結果を地図にあらわして、これから手入れプランを仕上げようという段階。

 やぶこぎに追われて後回しになっていた水路の手入れ、みなと池棚田の秋のトラクターがけ、少々気が重い竹内ヶ原―上池の干上げ、といった作業がこれから控えています。毎日あわただしいけれど、将来への貯金、といった心楽しさもあるようで。やっぱり、ぜいたくな仕事かな。




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