32 ポンプのトラブル 温泉掘り 1998年8月
32 保護区の中にいっぱいできた池 現在進行 すずがも通信111号 1998年8月
ポンプのトラブル
水面に浮いたかたまりから、小さな黒い影がちょぽんと水に飛びこみました。水に入る前に、すばやく首をひねるような特徴のある動作をしたのが目のすみにちらっと見えました。カイツブリが私に驚いて巣から離れる時、巣材の水草でじょうずに卵を隠したところです。よかった、無事だったんだ。前の週の観察会で、観察路からほんの2,3mのところに巣があったと言われていた場所。カラスに見つかったりしないよう、自転車を止めずに通りすぎました。それでも、見ることができてよかった。
目下、保護区への水源は千葉県設置の2台の水中ポンプです。大型・小型と2台あるタービンポンプがきげんよく動いてくれればありがたいのですが、今のところは、もう、あきらめムードです。
修理はちゃんとしていただきました。12月28日から連続稼働をはじめ、1月15日にパイプの継ぎ目から水がもれて揚水不可能になった大型ポンプは、6月8日に修理が済みました。連続稼働を試してみるのは、毎日様子を見るための時間がとれるようになってから、と思っていたのですが、ごく短時間のテスト運転4回目で、もう水が上がらなくなりました。「大型ポンプ、一発でかかりましたよ」‥‥‥修理完了後、3回までは一発でかかったことを喜ぶべきか、かかったと喜ぶ現状を悲しむべきか。予想より早く結果が出てよかったのかなあ。昨年6月に既にわかっていたように、タービンポンプの使用には無理があり、最終的にはあきらめるしかないと思っています。
水中ポンプ2台は順調に動いてくれていますが、コンピューター内蔵のタイマーがうまくきいてくれません。さしこんだピンでスイッチのオン・オフが行なわれる方式の友の会ポンプの方は、これまで何のトラブルもないのですけれど。要は、日に1回程度ポンプを止めて水を逆流させ、その勢いで吸い込み口まわりにゴミがつまるのを防ぎたいということです。逆流をしないでおくと、ほんの数日で揚水能力がぐっと落ちてしまいます。タイマーが効きさえすれば、放っておいてもゴミがつまらずに済むのに、週に2、3回、逆流させるためにわざわざスイッチを切りに行かなくてはなりません。これもまあ、修理待ちです。
温泉掘り
そんなこんなで、梅雨明け後の渇水期に備え、友の会の水中ポンプも動員できるようにしようということになりました。昨年のポンプ故障時に配管に少し手を入れて、いざという時には友の会のポンプからも本管に水が入れられるようにしてあります。目下のところは、友の会のポンプはみなと池だけに水を上げているので、1日のうち数時間しか動かしていません。残る時間分、揚水量に後押しできるようにしたいと考えたわけです。そのためには、みなと池に必要以上の水が入らないよう、調整できる水栓が必要です。
錆びないプラスチック製のボールバルブを予算で買ってもらい、いざ取り付け。・配管や取り付けは順調だったのですが、予期しないハプニングが起きました。みなと池へは揚水量の6~8分の1の水量を入れればよいはずなので、バルブをかなり絞ったところ、手前の地面からいきなり水が湧きはじめたのです。さあ、たいへん。水圧がかかったパイプのどこかがはずれて、水が噴き出してしまったということ。それもこの場所は、工事用の通路としてもともとの配管の上に1m近くもの土盛りがしてあるのです。
昼前から午後いっぱいかかった「温泉掘り」作業で、はずれた箇所は予想どおり接着剤なしでとめてあったキャップということがわかり、対策を講じて埋め戻しが済みました。ところが、翌々日の夕方になって、同じ位置から水が湧き、少し離れたところに大きな水たまりができていることがわかりました。
またしても「温泉掘り」。ところが、困ったことには、キャップははずれていないのに、もっと手前から水が流れてくるというのです。どこが水源かはまだ突き止められていません。この工事用通路には重機も乗っているため、下にあたるパイプはもとの位置よりも30㎝近くも下がっており、どこかの継ぎ目でトラブルが起きているらしいということです。今度は水が湧く場所が特定できないだけに、難易度高。暑いしねえ。まあ、ぼちぼちやろう、ということになっています。
安定した水量・水質の水供給、安定した水位・流水確保。いやあ、水を制す者は国を制す、というのは本当ですよねえ。面白いけれど、おそろしくむずかしい。
排水機場からの原水がまず貯められている水車池の水面におりる階段のところで、ギンヤンマとシオカラトンボのヤゴの抜け殻を見つけました。やったね。いつか、きっと、カイツブリ以外の湿地の鳥たちも、戻ってきてくれるでしょう。そのための管理作業。ぼちぼち、ゆっくり進めたい。




