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現在進行 鳥の国 1  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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3 みなと新池現在進行  1996年4月

すずがも通信97号 1996年4月 みなと新池現在進行


 行徳鳥獣保護区の中に、千葉県による「みなと新池」が作られたのは、1993年度末のことでした。

「工事費が400万円くらいあるのだけど、やりたいこと、ある?」という思いもかけない担当者からの電話。「1週間くらいで企画書が作れる?」 ええ、できますとも。やりますとも。

 90m×60mくらいの池ひとつ。だいたい60㎝ほどの深さに掘り、出た土は周辺の土手にするほか、一角に斜面として盛り上げ、ここを5段に分けた棚田とするというもの。ここに、行徳地区の雑排水が貯められている「湊排水機場遊水地(通称“どぶ池”)」の水を入れて、棚田を通して浄化を進めた上で池に入れるという計画です。

 千葉県が造成の工事費を出してくれたのですが、揚水施設(ポンプ、パイプ、電源、水車等)については、はえぬきの地元団体、市川南ロータリークラブが経費一切を持ってくださることになりました。そして行徳野鳥観察舎友の会は、揚水等に必要な電気料金、管理作業等々を受け持ちました。行政・地元・環境保護団体が協働した「三位一体」の事業、みなと新池。紆余曲折は、あれこれですけれど。


 みなと新池の水源というのは、千鳥橋のすぐ近くにある「湊排水機場」の遊水池です。これは、行徳地区で最大のポンプ場で、ゼロメートル地帯である行徳では自然排水がほとんどできないため、何か所もあるこうしたポンプ場で強制的に海へ水を出しています。毎日使われる水道の水、トイレや洗濯やその他をみんな含めて、雑排水の大半は排水機場を通って排水されます。もちろん、江戸川広域下水処理場に入りそこから江戸川の今井橋のところに送り出されているものもあります。このほか、降った雨や雪の水も排水機場を通ります。

 ポンプアップする前に、一時的に水を集めておくのが遊水池ということです。だいたい毎日、江戸川の向こう岸にある真間川排水機場を本拠地にしている市川市土木部の排水施設チームが巡回してきて機械を動かし、ポンプ排水を行っています。大雨の日などは徹夜態勢でたいへんです。

 さて、湊排水機場の遊水池からみなと新池にはどうやって水を入れるのでしょうか。これももちろんポンプです。市川南ロータリークラブのご寄付によって、養魚用水車、水中ポンプ、配管、電気工事が行われ、必要な電気料金は友の会が負担しています。ただし、この3年間は「ちば環境ボランティア補助金」を毎年30万円ずついただいているので、だいぶ助かりました。

 揚水量の上限は一日に約400トンくらいと推定しています。通常はこのうち約150トンくらいをみなと新池に入れています。今は工事に支障がないよう、揚水量を減らして外に流れ出ないようにしているので、たぶん50トンから80トンくらいの揚水になると思います。ポンプの稼働時間の調節で揚水量の調節ができますが、もっと簡単には、途中にホースをつけて北池へ一部を流し込んでいるので、このホースの折りまげ方ひとつで調整ができます。きつく折りまげて北池に入りにくくしておけばみなと新池に入る量が増え、ゆるくすると北池に入る量がふえてみなと新池にはあまり入らないことになります。

 そんなこんなで、揚水量についてはごくおおざっぱなとらえ方しかできていません。まあ、こんなこともみなと新池の管理作業の一環というわけです。

 どろりと緑色をしていた池本体の水は、揚水量を思いきりしぼってから、いくらかましなうすい茶色になりました。もう少し透明度が上がってくれば、春先のヒシの発芽に間に合うな、と期待しています。それでも、棚田を通った後の水に含まれる窒素分はまだかなり多いのです。水量調節と水質管理。頭、痛い!

 いつも池本体にはカモがいくらか入っているし、オシドリの雄も何度か見られました。棚田にもタシギやタヒバリ、ハクセキレイなどが時々います。土手や島の松にチュウヒがおりていることもあります。新しく造成された池との連絡水路もできました。あとはこの池の水質浄化能力をどこまで上げることができるか。楽しみですが、不安でもあります。どこまでできるかなあ。



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