29 保護区のなかにいっぱいできた池 現在進行 管理作業の結果 トラクター受難 1998年6月
29 保護区の中にいっぱいできた池 現在進行 すずがも通信110号 1998年6月
管理作業の結果
ほどよく水をたたえた棚田から、ほどよく小さな流れが続いています。予定していた春のトラクターがけも終わり、どの筒口からも水が入れられるようになりました。雑排水を原水としている以上、水量と水質のかねあいには気が抜けませんが、今のところ、水の管理作業はまあまあ順調です。ありがたい!
3月、平成9年度の業者委託の管理作業として、水路、堤の基礎、水もれ対策用の小さい池などを作ってもらいました。新しい浄化池ぎわにできる大きな水たまりが、ため池と小型の水中ポンプのおかげでうまく解消できました。水びたしだった桜が花をつけた時はうれしかったですねえ。もう2本も枯れたのですから。
みなと池と周辺の水の濁りが著しく、このままでは水底から芽を出すヒシが光量不足で発芽できないと心配で、思いきってみなと池本体の水位を下げました。水路を切って、浅い部分の底が露出するまで水を落とすことにしたのです。掘った水路にはパイプを埋めて、これからも必要に応じて水位調整ができるようにしました。幸い、ヒシの芽はぞろっと出てきてくれました。棚田の部分の天地返しも、何度も何度もトラクターがはまったものの、どうにか無事に終わり、5月5日から揚水を再開することができました。
ヤナギやチガヤが生えた一角を「カヤネズミ生息地」として掘り残し、大きな島にしてある「百合池」で、森田昭次さんがすてきな橋を作ってくださいました。昔の観察路に手を入れれば、無人島を一周するルートができます。
みなと池の桟橋、長靴池に浮かぶいかだ島、あちこちの階段や橋、水車池の埋設配線等、必要な工作物をカッコよく、しかも廃材利用で予算ゼロから作ってくださる森田さんの手腕。「森田工務店」とひそかにあだ名をつけています。観察会などにいらしたら、ぜひ力作をご覧ください。
1年以上にわたって、毎月1回ボランティアに通ってくださっている伊藤貴博さん。伊藤さんが来られる日に合わせて、人手が必要な作業をやることにしています。5月10日のテーマは「水車の補修」。軸がすりへってプロペラがはずれたり、ベルトが切れたりして、4つあるプロペラのうち1つしか回らないまま1か月近く経過していたドブ池の2台の水車を修理し、併せて水中ポンプの手入れも済ませました。泥だらけの作業服のまま、「この方が、ちゃんと働いてきた、って実感がわくんです。このまま帰ります」
電車の中で、まわりの人が逃げたのではないかしら。ご苦労さまでした。
友の会の「池の手入れ」も、おかげさまで無事に終了しました。観察舎専従スタッフとボランティアメンバーが、いっしょに楽しく(?-どうでしょう)作業できる態勢は、かけがえのないものと思います。
できるだけ開けた水面を確保しておきたい、というのが懸案の「上池―竹内ヶ原」。シギやチドリが入れるようなごく浅い池にしたため、放置すれば一面のアシ原になってしまうところです。あちこちの作業を進めながらも、つんつん伸びたアシの芽が気になって、おちおちしていられません。時間ができるたびに、大黒柱さんたちがトラクターを入れて、視野が開けるように、一部には鳥の隠れ場としてアシが残るように、と様子を見ながら作業を進めました。成果はこれから。楽しみなような、こわいような。
トラクター受難
さて、慎重に進めたためか、運がよかったのか、比較的順調だったトラクター作業ですが、4月23日にもののみごとにつまづきました。上池にあったもとの深みの近くで、泥にはまって動けなくなったのです。前に進むともっと泥が深くなるので、バックして出ようとしたところ、大きな後輪が掘った跡の深みに小さい前輪がはまって、排気管が水につかるほど車体が傾いてしまいました。おまけにすぐ後ろは固い地面のため、後輪が上がり、前が下がる一方。うわーっ。泥まみれになった男衆が3人で奮闘努力はしたものの、とうとうエンジンが動かなくなってしまい、泣く泣く帰ってきたものです。
翌朝は涙雨。いつもお世話になりっぱなしの農機具・船外機店のホーエイさんが朝一番で来てくださったものの、エンジンは動かない、ユンボーを頼んで引き上げてもらわないと、という見通し。これまたいつもお世話になっている機械屋さんの蕪木さんは、田植えで福島に帰っちゃった、とのこと。救出はいつになることやら。
その日の夕方近く。「ユンボーの手配がついて、これから来てくれるって」 電話を受けた嘉彪の声で、みんな躍り上がってしまいました。あっさりとぬかるみから引き上げていただいた上、なんとありがたいことに、泥だらけになったエンジンも無事にかかったのです。終わりよければすべてよし。めでたし、めでたし。
鳥の保護区管理は3K作業の連続。くじけず、めげず、あきらめず、で、乗り切りたい。
できるかなあ。




