23 湊池・再整備工事 現在進行 管理作業、佳境 1997年12月
すずがも通信107号 みなと池・再整備工事等現在進行 管理作業、佳境 1997年12月
秋の管理作業の最中です。今年は棚田のトラクターがけをはじめ、完成してから10年になるトヨタ池(上池・下池)をおおいつくしているアシ原の一部の天地返しや岬などの除草、水ぎわのゴミ除去など、手のかかる作業は業者委託になっています。トヨタ池の造成時(1987年)からのおなじみで、昨年の再整備工事もずっとこなされた黒沢さんが、重機による作業を終わらせてくださいました。
だから、だから仕事が楽なはずですよね。
ほんとうに楽なはずなのです。広大な浄化池(水はまだ入っていませんが)のトラクターがけは、大きなブルドーザーにひかれた耕運機と、これまた大きなトラクターで1週間ほどで終了。みなと池の棚田は小型のユンボーによって2日で天地返し終了。
さて、それでもきりもなく手作業が残っています。棚田に残ったヒメガマの地下茎は、地上部や泥のかたまりがついたままなので、おいそれとは動きません。大根抜きのつもりで、えいっ、とひっぱると、ゆさゆさとおもむろに出てきます。ロータリークラブからいただいたトラクターをかけてみました。大正解! 地下茎が地上に浮いて、ばらばらになってレーキで集められるようになりました。
次は焼却処分。油気があるガマは、何日か風にさらすと地下茎でもよく燃えるのですが、掘り上げて間もないうちはだめ。火のごきげんとりで、マッチ1箱とチャッカマン2本、ライター1本を使い切ってしまいました。何よりも、2日がかりで仕上げようとした焼き芋が、ついに生焼けに終わったことはこたえました。
オバサンがレーキがけやたき火というまあまあ楽な作業をしている間、大黒柱の男衆2人はひたすら水路やあぜの補修。あいた時間をぜんぶ使って、25日には頼もしいボランティアの伊藤貴博氏も加わったおかげで、天地返しの10日後、無事に水入れにこぎつけました。
さて、一方では北池新池(仮称にしてもひどい名で、早くなんとかしなくちゃ、の最たるもの。結局「三島池」「百合池」に落ちつきました)の水位を下げるために水路を掘り下げる、とか、長靴池で少しずつのばしているスクリーン(鳥から人の姿が見えないようにする目隠し)づくり、とか、湿生植物の移植(幸いにも既に終了)とか、次から次へと作業が待っています。終わりません。水車池にみごとに繁茂して、夢のようにきれいな薄紫の花をつけているホテイアオイも、霜枯れするころには水から引き上げなくてはなりません。そうこうするうちに、待ちに待ったポンプの補修が終わり、いよいよ新浄化池の全体に水を張ることになるはず。うわーっ、吠えてしまいます。
でも、実は吠えるばかりではないのですよね。作業の合間に聞こえる鳥の声。冬鳥が渡ってきて、春以来聞けなかった地鳴きをいちいち思い出す楽しさ。掘り返した土をのぞきにくるモズやハクセキレイ。キラッと赤い色をひらめかせて飛ぶアカタテハやヒメアカタテハ。
「これ、クワイかなあ」 達ちゃんが掘り出した塊茎は、お正月のクワイと形も色合いも同じ。図鑑で見たら、なんとオモダカ(棚田ではものすごく増えました)とクワイは同種でした。オモダカには食用になるような塊茎はつかないはずなのですが。意外な発見。
霜枯れの季節がせまっています。やりたいことを全部やる時間なんて、あるわけがない! 焦らずのどかにすごせばいいのかな。




