20 湊池等々現在進行 草原の中で 1997年10月
すずがも通信106号 湊池等々現在進行 1997年10月号
大ポンプは動いていません。浄化池に水は入っていません。まあ、いずれは入るでしょう。完全に開き直りの気分。
小さいポンプは7月いっぱい支障なく動いていました。週2、3回、空気を吸って止まる以外のトラブルはなく、何とか行けるかな、と思っていたところ、8月4日から復旧できなくなりました。5日に引き上げて見ると、例のごとく、弁に小枝がはさまっていましたが、今度はなんと、吸い込み口のごみよけかごとパイプをつなぐ頑丈な麻袋がボロボロに破れていたのです。設置後、わずか10週間でこの状態。おまけに、ずっしりとした鋳鉄製の吸い込み口の耳の部分にひびが入って、ボルトが止められないことがわかりました。あーあ。
1週間でなおります、と言われたのに、吸い込み口の交換までまる2週間。ごみよけかごの方は、現在までなんの音沙汰もありません。仕方なく、友の会がみなと池に水中ポンプで入れている水を、配管をかえて送り込むことにしました。でも、悲しいかな、水中ポンプの方が揚水量が少ないのです。ごみよけかごに手持ちのポリロープで袋を編みつけて、先週から小型ポンプによる揚水を再開しました。目下、ごみよけかごの改良版をみなで工夫している最中。上手になったら、藤や竹かごの編み方の講習会をやろうかな。
だいじょうぶ、ヤケになっているわけではありません。大草原と化した新浄化池全体の植生調査で、楽しい思いをしたばかりです。去年、定点撮影のポイント決めに高みに上がって、一面の黄色いセイタカアワダチソウの花を見渡した時、「このまわりぜんたいが水面になるなんて、想像できる?」と相棒の達ちゃんに言ったら、「ぜんぶアシ原だったりして。いや、もしかするとセイタカアワダチソウ?」と交ぜっ返されたことを思い出しました。
今のところ、どちらもはずれ。どこでも、どこまでも、オオクサキビ(ヤヨイちゃんと仮称)とキンエノコロを中心とした、腰から胸くらいの高さの一年生草本の草原です。きれいですよ。スズメやベニスズメが大喜び。トラクターが入っていない斜面には、アカザやセイタカアワダチソウ、タデの仲間などがびっしりとしげっています。
水が入った竹内ヶ原は対照的。2~3割がたアシが繁った浅い水面のそこここに、ヒメガマとコウキヤガラのしげみが育ち、ガマの群落まで一か所ありました。トンボが飛び、シギやサギがいつも入って、とてもいい感じ。それでも「いい感じ」を維持するには、アシが繁りすぎないように、干し上げて全体を耕さなくてはなりません。今年は上池・下池のアシのコントロールのため、ユンボーを入れて地下茎を除去してもらう予定なので、1ヶ月以上も水が入らないはず。幼虫越冬のトンボには手痛い打撃です。だいじょうぶでしょうか。
みなと池のあたりは湿生植物の花ざかり。ホテイアオイとミズアオイの美しい花は今が見ごろ。五段目の棚田にコガマの群落ができていました。そろそろトラクターを入れなくてはなりません。種子ができた後はいつ耕してもよいはずで、早く耕して水を入れたいのですが、みごとな植物に気後れ中。四段目の半分と五段目は後回しにしてもらうつもりです。
水管理、植生管理‥‥‥どの時期にどの場所をどのように干し上げたり、水を入れたりすれば、生きものにとっていちばん都合がよいのか。ほんとうにむずかしいけれど、やりがいのある仕事と思います。




