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1.安アパートから

皆さんはじめまして VTUBERのなまさかな と申します。

今日からなろう小説を投稿していきます。

投稿は週一を予定しています。

どうぞよろしく


ようつべ

https://www.youtube.com/channel/UCQGTSjoZyCW-3_ccUck_B1Q

にこにこ

https://www.nicovideo.jp/user/29802564

ついった

https://twitter.com/namasakanakun

 死にそうな足取りのサラリーマンが安アパートの一室に帰ってくる。

変色した壁、端がめくれあがったタイルシート、いくつかの溜まったゴミ袋、使われた形跡のないキッチン、そして部屋に不釣り合いな豪華なシルクの羽毛布団を置いたベッドがあった。

生活感は薄く、寝るだけの部屋のようだ。

玄関を上がるなり首輪を嫌がる犬のようにネクタイを外し、スーツを脱ぎ捨てる。

片付けもせずに浴室へ入っていく。

熱いシャワーを浴びて、狭い湯船につかると男はいやな記憶を思い出した。



「加藤!どうなってるんだ!」

『はいっ、ちゃんとキャンセルしておきました。相当お怒りでしたがなんとか…』

「はぁ?オレがそんなこと言うわけないだろ!」

『でも…オレが黒と言ったら白でも黒になるんだ!さっさとキャンセルしろと昨晩おっしゃられてたじゃないですか…』

「はぁ!?キサマ…!土下座しろ土下座!」


部長が蹴りあげた書類の束がオフィスに舞い上がった。



 大きなため息をつき、今日の嫌なこと、仕事、現実の全てを忘れるまで湯船に浸かり続ける。

少しやつれがとれた加藤が風呂から上がり、パンツ一枚でベッドに入った。

そして、シルクの肌触りを感じながら、眠りについた。



 目を開けると夢の中だった。

目の前にはオレンジ色に染まる森が広がり、その先には夕日に照らされた大きな山がふたつ、振り返ると草原地帯が広がっていた。


「カトゥ、お前さん寝てる時いつもうなされてるな」

『俺はまだ悪夢を見てるのか?モンスターが話してやがる』

「へっ、心配して損したぜ」


顔に深い傷の入った眼帯のおっさんが酒を飲みながら火の番をしている。たき火の上には鍋が置かれており、甘い香りが仄かに漂っていた。


『くそ僧侶にも優しさってもんがあったんだな』

「こう見えてもオレは孤児院の院長もやってんだぞ」

『酒代の、借金のかたにとられる前までは、だろ?』

「珍しい酒が入ったんだ仕方ねえ、それに今回の仕事が成功すりゃ、孤児院を取り戻して酒蔵を買えるぐらいの金は手に入るはずだ」

眼帯黒マントの僧侶はそう言って、また酒をあおいだ。



 それにしてもこの男は見れば見るほど部長によく似ている。

そのせいでついつい口が悪くなってしまうが、まあ面倒見のいい男で恩人だ。

今回の依頼もこの男が持ってきてくれた。

ただ、ドラゴン退治とかとんでもない依頼を持ってきたり、酒癖の悪さで大事になったりと、出会って日が浅い割に何度もひどい目にあわされている。

最近胸当てなどの装備を買い換えたばかりなのに、今回の依頼で潰されないかと心配になってしまう。



 闇が深くなってきた頃、体の三倍はある大きな荷物を担いだ女性?とロングソードを担いだ大女が草原からやってきた。


『マリアに持たせれば良かったのに』

「女に荷物なんか持たせられるか!男が手ぶらだったら笑われちまうよ」

女と見間違えるほどの美男はそう叫んだ。


「足ガクガクで村人に笑われてたぞ」

「言うな!」

そう叫ぶと美男は荷物に押し潰されるように倒れた。


「だから私が持ってやるって言ってるのに…」

大女のマリアが呆れるように言った。


『で、勇者様はなんて言ってたんだ?』


荷物の下から何か聞こえてきたが何を言っているかは分からなかった。


「マリア、フィルズを助けてやれ」

世話焼き僧侶が声をかける。


マリアはロングソードを担いだまま、もう片方の手で軽々と荷物を持ち上げた。


僧侶は鍋のものをコップに注ぐと潰れている美男フィルズに差し出した。

「チョコレートミルクだ。秘蔵のな」


フィルズはチョコレートミルクを飲むと体が薄い緑色に輝いた。


何もなかったかのように元気に立ち上がり埃を払ってからこう言った。

「夜襲は7日目の今夜で最後だそうだ。明朝勇者様一行が5人の四天王が一人ヒルニャニフルを撃つ。俺たちも蛮勇様と一緒に戦うことになるそうだ」

『徹夜で戦闘か!?しかも四天王だ』

「きつすぎるぜそりゃあ」

僧侶がぼやく。


「だが殺した《後》は参加しなくてもいいらしい」

フィルズは《あと》を強調した。


『そっちの方がありがてぇ』

「さあ酔いも回ってきたことだ、そろそろ行くか」

僧侶の一言で一同は動き出した。



 森の中は生い茂る木の葉に星の光も隠され、ランプの光だけを頼りにしながら進んでいった。

所々に洞窟があり、足元も深い穴ぼこがあいていて、魔物が潜伏している恐れがあった。

だが、同様にこちらも潜伏しやすく、夜襲には持ってこいだった。


「緊張するな」

後ろのマリアが声をかけてきた。


『そうかワクワクするが』

「カトゥは戦闘狂だからな」

とマリアが笑う。


『そんなことはないと思うが』

「カトゥ、お前さん戦ってる時いつも笑顔なんだよなあ」

最後尾の僧侶が言う。


『いつもはねぇだろ。それに笑顔は歯を剥いて威嚇する表情が変化したものらしいぞ』

「その知識はどこで知ったんだ?」

僧侶がいぶかしむ。


『エロ坊主。そろそろ女のケツばっか拝んでないで前歩くか?』

「バカもん。しんがりが一番経験がいるんだ」

「私は後ろでも大丈夫だぞ。それにでかいから前見えないだろ」

とマリアは笑いながら言った。


「今もお前らにはわからん技術で頑張っとるんだがなあ」

とそんなことを時々話ながら歩いていると、斥候として先を進んでいたフィルズと合流した。


「この先で戦闘が始まってる」

フィルズは緊張した面持ちで言った。


10分ほど歩くと、遠くで光の線が行き先に向かって飛んでいった。

それから遠くで何かがぶつかる音が聞こえ始めた。


「オレが前に出る。オレが歩いた所を踏んで進め」

そう言って僧侶が先頭に立った。


しばらく忍び足で進むと5メートルほどの岩のドームを中心にちいさなテントが5つ見えた。

そこへめがけて周囲から石や火矢が放たれていた。


ماسالا أماه

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