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悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。  作者: 金田のん
第4章 入団までの1年間(3)、グラナダ迷宮と蓋をした私の思い
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95:マクシムとベルタ

理奈視点に戻ります。

「はははっ何をいってるんだ?・・・オレにだって・・・・口出す権利はあると思う・・・!!」


元彼・光輝に似た男、<マクシム>が凄まじい速さで接敵した。

いや、敵っていうのは、私の講師をしているアルフレッドのことなのだが・・・。


ドゴオッというすさまじい音と共に、アルフレッドの巨体が吹っ飛んだ。湖がちょうど真後ろにあったせいで、その巨体はそのまま水の中に沈んでいく。


マクシムがアルフレッドの顔を殴る直前、左腕でガードしていたのが私の位置から見えたから、おそらく気絶はしていないとは思う。そのうち勝手にあがってくるだろう。



「すごいな・・・!」



思わず感嘆の声を上げてしまう。アルフレッドなら、攻撃をされたらカウンターくらいするだろうに、それを許さない程のすさまじい攻撃だった。



(ベルタが<強い人>と紹介するだけはあるな。マクシム)



先ほどの攻撃にほれぼれする。



(私とも手合わせをして、もらえないだろうか!)



この迷宮に入ってから、私は講師で上官であるアルフレッドに「依頼が終わるまでは食事と睡眠、小便以外はオレの腕の中だ・・・・上官命令だから拒否権はねぇ!」と横暴な命令をされ、せっかくの迷宮なのに一切戦闘をしていない。


そして、ちょうどその横暴な命令をした上官はいない。

私は期待を胸にマクシムへと近づいた。



「マクシムさん・・・ちょっといいだ・・・」


「んんん~~!!何してるのよ・・・あなたっっ!あの人、私がっっ大きな猫ちゃんに早く会うために必要な人なのに・・・!いま死んじゃったら困るじゃない!私のっ・・・私のっっ猫ちゃんがぁ!!」



マクシムにお願いする前に、ベルタに遮られてしまった。

もちろん公爵子息教育で習っているから、女性の話を私が遮ることはしない。


だけどベルタが怒りながら、ポカポカと可愛らしくマクシムの胸をたたくのを見ていると、・・・・・・二人の関係を見せつけられたような気持ちになって、また胸が少し痛んだ。



(いやいや、そもそも彼は光輝じゃない。・・・大丈夫だ!)



肩をすくめて、息を吐きだす。蓋をしたはずの光輝への気持ちが、マクシムを見ていると似ているせいで溢れだしそうになるから本当に困る。



「もうぅぅぅぅ!早く、早くっっあの人を助けて!」



私が息を吐きだす横で、ベルタが急かすようにマクシムに頼むと、マクシムは元彼がストレスを感じた時と同じように眉をピクリとさせてから・・・・・・湖に入っていった。



「えっ」



アルフレッドがそもそもまだ湖から出てきていないのは、溺れているからではないだろう。溺れている気配は微塵もない。



(衝撃がすさまじかったから湖の底深くとか遠くまで行き過ぎたか、水中に潜んだまま反撃のチャンスを狙ってるかってだけだと思うけど・・・)



それは実力のあるマクシムだってわかっているだろうに・・・・。


私は、自分の服が濡れるのもいとわずに湖に入っていくマクシムを驚愕の面持ちで見つめた。

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