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悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。  作者: 金田のん
第4章 入団までの1年間(3)、グラナダ迷宮と蓋をした私の思い
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91:勇者の過去(11)不法侵入

オレ、仲河光輝(なかがわこうき)が、隣国の天才児・<フレデリック・フランシス>暗殺を命じられ、考えうる限りの準備を整えてから、ちょうど一ヶ月後。

ルナリア帝国の影である<チェスター>とともに、オレは再びレイ皇国の王都に足を踏み入れていた。


ずっと転移で一瞬で移動していたから分からなかったが、ルナリア帝国の帝都からレイ皇国の王都まで行くのには、それほどの距離があった。


馬車ではなく、二頭の馬を走らせてこれだから、日本で言うと東京から鹿児島程度は距離があるのかもしれない。いや、異世界の馬の脚力を考えると、その倍はありそうだ・・・・・・。


ちなみに馬は<サムド>が馬術を習得していたし、オレ自身も幼少期に乗馬の習い事をしていたので問題なく乗れる。

そんな風に、つらつらと思考を飛ばしていると、チェスターが王都の入場門を通るのが遠目で見えた。



(入ったか・・・)



チェスターはいま、固有魔法で<茶色い髪の平凡な男>の行商人に化けている。影としての任務で様々な身分証を持つ彼は、その中の一つを利用し、問題なくレイ皇国の王都に入っていった。


・・・・・・が、問題はオレだった。


オレ自身、冒険者としての身分証を持っているがそれは秘密にしているし、何よりチェスターはこの任務のためだけに冒険者登録をさせたり、身分証をつくるのを渋ったからだ。


・・・というより、一般人とオレを接触させること自体に消極的なようだった。


ルナリア帝国は勇者を召喚していることを公表していないのだから、言動から万が一にも異世界人だとバレることを避けたかったのかもしれない。


もちろん身分証がなくても一時滞在ならば仮の入門許可証が発行されるから入門自体は可能だが、よほどの田舎者か身分証を紛失した者以外は発行する者がいないため、目立つのだ。


そして、オレには・・・・便利な転移魔法がある。


レイ皇国の知人に会ったときのことを考えると、何かしらの対処が必要だったから、オレ自身もチェスターの命令は都合がよかった。


チェスターが入門してから30分ほど経つのを確認し、地図で指定された場所へと転移する。



「テレポート」



目の前の光景がぐにゃりと歪み、次の瞬間には大きな屋敷が目に入る。

不法侵入した王都の貴族街。


その中でももしかしたら一番大きいのではないだろうか、その目立つ屋敷の近くの裏路地に転移したオレは、気配遮断をしながらわずかに人の気配のある方へと近づく。



「見ろ」



前方から声がかかる。同じく気配遮断をして、この裏路地に潜んでいた<茶色い髪の平凡な男>に化けたままのチェスターだ。


チェスターが、目線だけで示す方向に目線を向けると、屋敷の正門から馬が三頭出ていくところだった。


遠目でよく見えないが、馬上の人物のうち二名はキレイな金色の髪をしているのが分かる。



「?」


「フレデリック・フランシスとその従者だ」

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