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悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。  作者: 金田のん
第3章 入団までの1年間(2)、帝国の陰謀とグラナダ迷宮
68/103

68:勇者は、攻略キャラに出会う(2)

「それがはめられているってことは・・・お前は・・・どこかの王族の奴隷ってことか?」



アルフレッドがオレ、仲河光輝に疑問を投げかける。


だが、その質問は答えられない。<命令違反>になる。

無言のオレにアルフレッドの眉間に、しわが寄る。



「命令・・・だな?」



これは、<命令>に背かない問いだ。そっと頷く。



「チッ、やっかいだな。

この腕輪をつけたのは、オレの兄・・・あー、オレはぶっちゃけ王族なんだが・・・」



彼の言葉にまた無言で頷きを返す。



「ハッ。まぁ、俺を暗殺しようってくらいだ、オレの正体なんぞ知っているか」



そう言って、鼻を鳴らすアルフレッド。



「・・・・・その腕輪に関して、オレの兄・・・家族は関わったか?」



首を振る。これも命令違反の問いではない。



「いや、関わってはいない」



オレの返答に眉間を更に寄せるアルフレッド。



「うちの王族じゃないのか・・・・・・。あー・・・じゃあ・・・・・」


そこまで言葉を発して、少しだけ逡巡したように沈黙する。アルフレッドがごくりと喉を鳴らす音が辺りに響く。



「じゃあ<レティシア・フランシス>だったか・・・?あいつ・・・・<フレド>の家族は関わってるのか?」



また首を振る。これも命令違反じゃない。



「いや、関わってはいない」



そう言うと自分の家族の時とは違い、

心底安堵したように、そして嬉しそうに、アルフレッドは微笑んだ。



「そうかよ。やべぇ・・・よかった」



口元を覆い、少し目線をそらしながら、そう呟くのが聞こえた。



「んー・・・・・・じゃあ、その腕輪に関わっている奴は言えるか?」


「ル・・・・・・・ぐっ」



<ルナリア帝国皇帝>。そう答えようとした瞬間、強烈な痛みが全身を襲う。今にも気絶しそうだ。

この返答はやはり<命令違反>にだったようだ。


2つ目の<命令>。・・・・暗殺に関してルナリア帝国が主犯だと疑われる行為をしないことに該当するのだろう。


腕輪に関する質問だから暗殺とは無関係と判断されるかと思ったが・・・・・やはりダメらしい。


膝から崩れ落ち、倒れる。

<隷属の腕輪>の<命令違反>を何度か犯して気づいてはいたが、この腕輪は<命令違反を繰り返すたびに>痛みがひどくなる・・・・つまりは、気絶するまでの時間が・・・・・短くなる仕様になっているらしい。


5秒4秒と短くなり・・・今では2秒あるかないかだ。


キツイ。本来なら、命令違反を犯したら、必ず気絶する仕様なのだろう・・・・意識が遠のく。だが・・・・オレは・・・・


・・・・・・異世界の勇者だ。



「ヒーリング」



オレが<詠唱省略>で<サムド>が使える回復の呪文を唱えると、魔素が集まり、<隷属の腕輪>によってもたらされた<強烈な痛み>やダメージが一瞬で消える。意識がクリアになる。


相手を油断させるため、また奥の手として

帝国の息のかかったものの前では決して見せなかった回復魔法。

ここまで劇的な<回復魔法>は・・・・ルナリア帝国で学んだ限り、この世界には・・・・ない。


<サムド>は瀕死の重傷でさえ、そして身体の欠損さえ、一瞬で元通りにできるだけの能力があった。


涼しい顔をして立ち上がったオレの姿を、アルフレッドがぽかんとした顔で見つめている。そして、何かに気づき、にやりと笑った。

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