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悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。  作者: 金田のん
第3章 入団までの1年間(2)、帝国の陰謀とグラナダ迷宮
66/103

66:アルフォンス(アルフレッド)は深夜、徘徊する

アルフレッド視点。

※昨日から連続更新中です!読み飛ばしご注意下さい。

明日も朝に更新予定です!

深夜・・・人が寝静まったころだろう。周りの静寂が包まれている中、オレ、<レイ皇国王弟>アルフォンス・レイこと、<A級冒険者>のアルフレッド・ブラッドレイは、目を覚ました。


随分寝ていたのだろう。朝だったはずが、真っ暗だ。

肩も凝っている。コキコキと首を鳴らしながら、周囲を見渡し、習慣で枕もとの剣を手元に取り寄せようとしたところで・・・・


目の端に金色の髪が映った。

チラッと横をみると、あいつの<フレド>の寝顔が目に入る。


今日も、こいつはあろうことか、オレのベッドで眠っていた。



「おーおー、気持ちよさそうに寝てらぁ。・・・・・こいつ・・・・・・・危機感ねぇのか?」



そう呟きながら昨日・・・いや一昨日か・・・の出来事を思い出す。


一昨日、自覚したこいつへの感情。

男同士で王族と貴族・・・先の見えない今後の関係なんて・・・・まぁいま考えたって無駄だ。


そんなことより思い出させられるのは・・・・口づけた後のこいつの表情だった。



「まぁ、こいつも満更じゃなさそうだったからなぁ」



そう言いながら、口の端があがる。すげぇ楽しい。

こいつの頬を右手でさすり、おもむろに親指を唇に持っていく。

すると、ほのかに空いた口から舌が出て、オレの親指をこいつはぺろりと舐めた。



「ん・・・」



そして、吐息をこぼしながら、少しだけオレのほうに首を傾けた。深く眠っているのだろう。目は閉じたままだ。


・・・・・・そんなことされたら・・・・普通、抱きしめたくなるだろう?



「とりあえず、抱くのに邪魔だな」



そう言いながら、オレはこいつにかかっている布団を剥くことにした。


そして、剥いて・・・・・・・後悔した。


なぜか、あろうことに<フレド>は・・・・・女の恰好をしていたのだ。


なんでこんな恰好をしているのか知らないが・・・スカートが少し捲れ、少年らしい華奢な脚と・・・少年らしくない・・・・艶めかしい太ももが丸見えだ。


部屋にはこれまたおあつらえ向きに、同室であるはずの<イェルク>の気配も、なぜか・・・・ない。


2人きりで、好いたヤツが飛び切り情欲を誘うような恰好を・・・オレ好みの恰好をしていて、我慢できる男などいるだろうか?



「くそが・・・っっ」



とりあえず、こんな恰好・・・万が一、オレ以外のヤツに見られたら最悪だろう。オレは素早く掛け布団を元通りに直し、枕もとの剣を乱暴につかむ。


・・・・と、同時にベッド脇にある窓から病室を飛び出た。


あと1秒でもあの場にいようものなら・・・・・正直・・・・・・・・襲っていた自信がある。


よく我慢したよ・・・オレは。


未成年だからとか、男だから・・・一線を超えられない・・・・・とか、普通ならそんな理由で止められるのだろうが、オレはぶっちゃけ、そんな理由は・・・・枷にもならない自信がある。


出会ったばかりの癖に・・・そんなの問題にならないくらい、惚れちまってるからだ。


つまり・・・・なぜ我慢したのかというと、病室を出たかというと・・・・

寝ている状態だと、あいつの表情から同意が確認できない・・・という一点に尽きる。


さすがに好いたヤツを意識がないのにいろいろするのは・・・・と思い至ったところで、頭を振る。



「くそがっ・・・・!!」



オレらしくもねぇ。なんだそれ・・・・っっ!!

あいつは男で・・・ついでにガキなのに・・・・!!とりあえず思いつく限りの悪態を吐き捨てながら、オレは速足で歩を進める。


その足を向ける先は・・・・神殿の厩舎だ。


まぁ、普通の男がこんな深夜に暇をつぶせるところなんて、娼館くらいしかない。

だが・・・今のオレはもうそこは・・・・用のない場所だ。あいつ以外とか考えられねぇからな。



そうするとオレが行けるのは・・・・まぁ・・・・白い馬(ライゼ)のところくらいだ。



(とりあえず、あいつが起きる朝・・・もしくは同室の<イェルク>が帰るころまで、白い馬(ライゼ)のところに邪魔でもするか)


「そういや、怪我してから会ってなかったしな」



ぼんやり心配しているかもしれない白い馬(ライゼ)のことを思い浮かべ、そう呟くと、割と早く厩舎が目に入った。


・・・・・と、厩舎を視界に入れる同時に・・・・オレのすぐ前を・・・既視感のある黒づくめが移動しているのに気づく。


黒づくめ・・・。その容貌は、明らかにオレを一昨日斬り伏せた覆面男だった。


深夜だし、何となくオレも気配遮断をしている。向こうはオレには気づいていなさそうだ。

しかし・・・・・オレ自身も覆面男の存在に、この距離に近付くまで気づかなかった。



(へぇ・・・やっぱり・・えらい精度の高い気配遮断じゃねぇか・・・!)



覆面男の様子に、自然と笑みを浮かんだ。


何度も言うが、オレが<第三騎士団副団長>を辞めたのは、強い奴と戦いたかったからだ。


昨日、瀕死の重傷を負って、まだまだ本調子ではないことなどすっかり忘れ、白い馬(ライゼ)よりも<楽しい暇つぶし>を見つけたオレは、今まで以上に気配を消して、そっと覆面男の後ろに忍び寄る。


そうして、首元に剣を突き付けて、声をかけた。



「あ”ぁ?・・・お前・・・・またオレを斬りに来たのかよ?」



そういうオレの声音は、自分でも分かるほど、楽し気に弾んでいた。


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