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悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。  作者: 金田のん
第3章 入団までの1年間(2)、帝国の陰謀とグラナダ迷宮
57/103

57:鍛錬3日目・初めての指名依頼

明日の更新予定でしたが、

何だかブックマークも増えて、☆☆☆☆☆評価していただいた方もいて、感想もいただけたので

調子に乗っての更新です・・・。

「おい、坊主。F級冒険者って、本当に本当の冒険者なり立てじゃねぇか・・・っっ!金に釣られるのも分かるが、今すぐやめろ!!死ぬだけだ!!!」



いかつい癖に優しい性格なのだろう、先ほどの男が私の冒険者証を見て焦りながら、忠告してくる。受付の男性もそれにこくこく頷いている。


だが、私に折れる気はない。

もう私はこの可愛らしい女性からの指名依頼を受ける気でいた。


お金も魅力的だが、彼女の言った<もう一人のA級冒険者並みの人物>に興味があったのだ。



(どんな強いヤツなんだろうか?)



ワクワクしてきた。アルフレッド殿は昨日重傷を負ったばかりだし、しばらくは安静が続く。・・・つまりは暇だ。


ならしばらくは迷宮を楽しむしかない・・・。つまりは、彼女の指名依頼を受けようが受けまいが、予定は変わらないのだ。

だったら、お金の問題も解決するし、強いヤツと共闘できるこの依頼を受けない手はないというもの。


私の意志が固いのが分かったのだろう、受付の男性は軽く息を吐いた後、事務処理のために私の冒険者証を四角い緑色をした箱の上に置いた。


そして、目を見開き、驚愕の表情を浮かべた。


不思議に思い、その箱のようなものに表示された文字を覗き見ると・・・・。



(なるほどなぁ・・・いままで私が倒した魔獣はこうやって表示されるのか)



その文字には、登録の日付と倒した魔獣の種類と数、それを倒した日付がずらりと書かれていた。

<南の領地>最大都市<サリム>で受付の少女が言っていた通り、冒険者カードには討伐記録機能があるらしい。


見ると、私が昨日倒した魔獣の数は百を超えていた。しかもC級・B級もいる。新人が倒せる魔獣でも、数でもないから、(なるほど、これを見て驚いたのか)と納得した。


震える手で、今日の日付と指名依頼の内容を私の冒険者カードに打ち込んでいく受付男性。

打ち込み終わると静かに息を吐く。



「・・・・・・指名依頼、確かに受け付けました。前払いの(ゴールド)はベルタ様のカードから、フレド様のカードに移すかたちでよろしいでしょうか?」



この世界の身分証、そして冒険者カードは、前世で言うプリペイド式キャッシュレスカードのような役割も担っているらしい。そう尋ねられた。


私がうなずくと、またカードに何かを打ち込む。そうして、受付男性はすべてを終えると、私と先ほど<ベルタ>と名乗った可愛らしい女性にそれぞれ身分証のカードを返却した。



「・・・っっ、ゲラーシェ!新人をつぶす気か・・・っっ!!!」



その様子を見ていたいかつい男が受付の机をたたき、すごむ。受付男性は、無言で首を横に振る。



「・・・・。冒険者ギルドでは、双方が納得した指名依頼を、受付者の個人的感情で取り消すことはできません」


「くそっ・・・!坊主、死ぬなよ・・・っっ」



そう吐き捨てると、いかつい男性は仲間たちのもとへ去っていった。冒険者ギルド内部のざわめきも次第に収まっていくのを感じる。


一度受けた指名依頼を、他の冒険者が取り消すのは難しいからだろう。



「さぁ、それじゃあ迷宮探索に必要なものたちを買いに行きましょう!あとさっき話した一緒に探索するもう一人の男も紹介するわねっっ!!探索は・・・・んんん~、早い方がいいわ!!明日からでいいかしら?」



そう言って可愛らしく微笑む<ベルタ>に、同じく公爵子息教育で培ったほほ笑みをかえしながら、うなずく。どうやら強いヤツは男らしい。


そうして彼女<ベルタ>と買い物をし、お昼を一緒に食べ、さらに買い物を続けると、なんと夕方近くになっていた。


それというのも、彼女<ベルタ>は道で猫を見かける度に、追いかけまわしたから、異様に時間がかかったのだ。

・・・・だが、思い返すと前世の姉も買い物には時間がかかっていたし、私が早く終わるだけで、普通はこんなものなのかもしれない。



「ここ、ここ!私が猫ちゃんたちと暮らす家よ・・・!

あっ!一緒に探索する男も住んでるけどね・・・っ」



迷宮都市<アッシド>の端にある小さな一軒家を指さしながら、ベルタが笑顔で私に話しかける。


飼い猫に会えるのがそんなに嬉しいのか、と私まで少し嬉しい気分になり、微笑み返す。


そうして彼女が自分の家だからか、ノックもせず、扉を開けた先には・・・・彼女が言っていたA級並みに強いヤツだろうか。

一人の男が、大量の猫に囲まれ、ソファに腰かけているのが見えた。



(まずは挨拶しないといけないな)



そう思い、公爵子息教育で得た優雅なほほ笑みを貼り付け、男の顔を見た瞬間・・・・・・


私は固まった。


そこにいたのは・・・・・・・・


私、レティシアの前世・理奈の唯一の彼氏だった(・・・)男・・・・


つまり元彼がいたのだ。


この世界にいるはずがないというのに・・・・・・・。


元彼・仲河光輝(なかがわこうき)の姿かたちをした男は、猫に囲まれながら、私を見上げ、私と同じように驚愕の表情を浮かべ、固まった。

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