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二話 はるかな旅へ

私は、机の上にあった、その見知らぬものを手にとって見た。

それは2つあり、どちらも一見、紺色で少し小さめの薄い手帳のようだけど、表に金色の不思議な紋章と、下に英語の方で「JAPAN PASSPORT」と刻まれている。



―――パスポート。

パスポートとは、確か他のところにある国へ行く為に必要なものだと聞いた。



そしてこのパスポートらしきノートをちょっと開いてみると、すぐに、私の写真と、私の生年月日などが英語で書かれたページが出てきた。

「PASSPOT」という英語の下に、「旅券」とも書いてある。

もう一枚のパスポートには、同じように天野教授の写真と、生年月日、パスポートの発行国、国籍、パスポートの発行年月日なども書かれていた。

これは本物の、私が知っている「パスポート」なのだろうか。



私がそのパスポートの、他のページをぱらぱらと捲っている時に、不意に後ろに人の気配がして、振り向いてみた。

後ろにいたのは、恐らく会合から帰ってきたのであろう、天野教授だった。


「それを見つけたのかい?」

天野教授は、いつもの優しそうな目をして私に言った。


「えぇ。これは、あの外国に行けるというパスポートですか」

「そうだよ。つい昨日、もらってきたんだよ」

「ということは、外国に出張にでも行かれるのですか」

「それだったら、きみの分まで発行してもらっていないよ」

「というと」

「一緒に、どこか外国へ旅行しないかと言ってるのさ。きみにはとてもいい経験になると思うんだがな」

「外国・・・」



外国。


私がいるのは日本という国だけれど、日本以外にも、確認されているだけで百何十の国があるという。

しかも国によって話す言葉も、人種も違うのだと誰かから聞いた。

私のように肌の白い人、少し黄色っぽい肌の人、コーヒーのような色の肌の人。

白い人は「白人」で、黄色っぽい人は「黄色人種」、コーヒー色をした人は「黒人」と呼ばれているそうだ。


更に言語なども、日本語だけではなく英語、中国語、韓国語、フランス語、イギリス語、イタリア語など、世界の国と同じ数ほどあるらしい。しかもそんな国では、日本語は通じないらしい。

話せなければ、欲しいものすら手に入らない。なんという不自由だろうか。以前に教授が言っていたことによると、私は大体の語学はできるらしいけれど、教授は私とは根本的に違うと思う。


「なぜ言葉も通じない国に行こうと思うのですか」

「言葉なんて分からなくても、人間同士なんだからある程度は通じ合えるさ。・・・いいかい、きみの知っている世界は、この敷地内しかない。だが、世界はこんなスケールの小さい世界ではないんだ。この国で見た事のない、ありえない景色が世界中にはいくらだってある。それは時に美しいこともあるし、醜い時もある。でも私は早紀に、新しい世界を教えてあげたいんだ。たとえきみはこのままで良かったとしても、きみの見る新しい世界はきみに、生きている証を教えてくれるだろう」


教授は、研究の際でも見たことのない真剣な顔で私に言った。


世界が私に人間である・・・生きている証を教えてくれる、とは、どういう事だろう。

自然は動かない。ましてや話すことさえできない。言葉が通じるのは人間同士だけのはずだ。

それなのになぜ、教授は、世界が私にその事を教えてくれるというのだろう。

科学の世界にのめりこみすぎて、もはや幻想や妄想の世界の区別がつかなくなってしまったのだろうか。

でも、それにしてはしっかりとした会話になっている。



でも教授は、私の肩を軽く叩くと、私に分厚い世界地図だけを手渡して、その場から去っていってしまった。

この地図を渡したのは、旅行先の決定を私に任せるという意味だろうか。



私はよく分からないまま、地図のどこかのページをつまんで開けてみた。すると、ちょうど出てきたのが、他のページとは少し書き方の違ったページだった。


ページの左側の黒い線の囲いに「シルクロード(絹の道)」と記されている。



―――シルクロード。


確か、まえに天野教授から聞かせてもらった、ちょうど1000年ほど前の歌に、「シルクロードのテーマ」というサブタイトルのついた曲があったのは知っている。

けれども、地図帳ともなれば別だ。

シルクロードという地名など、見た事も聞いたこともない。一体どこの国のことを言っているのだろうか。

それともどこかの国の、世間では名の知れた地名、あるいは観光地だろうか。



・・・だが、そのページに目を凝らしてみると、この「シルクロード」という未知の地名は、当初考えていた国の名称でも、国の中の地名でもないことがおのずと分かってきた。

この地図になぞられた数々の線は、アジアの様々な国を通っている。


あとで書斎にある本なので調べてみると、このシルクロードとは、中央アジアに横たわっていた古代の東西貿易路らしく、「シルクロード」という名前は、絹があの中国から西の方へこの貿易路を使って運ばれていった事からこの名前が付けられた。

他にも、色々な国の文化や風習などを伝える術にもなっていたらしい。



『どうせ旅行の話が出ているのなら、ここに行ってみてもいいかもしれない』


私は一瞬、そう思った。

けれど、途端になぜか、それはあまりよくないと感じたのだ。


これが勘というものなのか、神のお告げなのかは分からないが、不思議なことにシルクロードの道のりを見ていると、ここを旅するなら、一人がいいと感じた。



でも本当にこの場所は、私の存在をはっきりとしたものにしてくれるとでもいうのだろうか。

ものを言わない自然の大地が、教授の言うように、私が「生きている」という事を、自身が納得するように教えてくれるのだろうか。


ここに行けば、私は確実に変わってしまうのか?

私は本当の人間になるのか。


私はこのシルクロードの地図に、そんな問いを口に出さず投げかけてみた。でも、地図は黙ったまま、私に道を示しているだけであった。




それから私は、その分厚い地図のシルクロードのページをそのままに、自分の部屋に閉じこもって、これからどこへ行くのかという計画表を練り始めた。

地図を見ている限り、この地図どおりにすべての国を回るのは、色々計算してみたりしたけども、結果的に無理だと思った。

というわけで私は、地図を改めて見て、何カ国かに絞ってみる事にした。その何カ国かというのが、最終的に中国、トルコ、イラン、インド、ネパール、パキスタンという国々だった。

なかには正式なシルクロードから外れたところもあるけど、どうせただの旅という程度。

1000年ほど前に存在した、あるアーティストグループの男性5人組がネパール、インドというところに行っていたのを思い出したからだった。


行く順番は、まずトルコにいって、そこから飛行機でイラン・パキスタン・インド・ネパール・中国という感じになる。


どの国も見たことがないから、生活習慣や服、食べているものまで一切分からないけれど・・・国と名乗る以上は、客人を悪いようにはしないと思う。



そして大体のことを旅行用ノートに、必要事項だけノートに書き記すと、今度は旅の準備に取り掛からなくてはいけない。


以前に、つい先日に辞めたが旅行好きな研究員がいて、その彼が言っていた事によると、旅行で持っていくべきものは、生活に最低限必要なものだけでいいと言っていたのを憶えている。


その最低限に必要なものといえば、着替えの服が何着かと、お風呂道具、万が一の時に備えてのミネラルウォーターや、少しの食料、たとえば缶詰など、そんなものでいいらしい。


あと、『柔らかい心』だとも言っていた気がする。

柔らかいかどうかは別として、一応、電信柱のように何も言わず突っ立っているようなものではないから、大丈夫だと思う。

言葉の面ならば、私が誕生する際に大体のものはできるようになっているようだし。・・・ここが皮肉なのかなんなのかは分からない。




―――でも、なぜこのシルクロードというところに、無意識に引き寄せられているのだろう。

地図から手が伸びて私に直接手招きをしているわけでも、言葉で促しているわけでないのにも関わらず。

こんな感覚は、17年間、こうやって過ごしてきた中でも無かった感覚だった。神様が、ここへ行けとでも言っているのか、と思うくらい。

でも、それだけの感覚が私に出てくるのなら、行ってみるくらいの事はあるのだろう、と私は、荷仕度をしながら考えていた。




それから荷仕度が終わって、確認もしたあとでトランクを閉めた。が、ちょうどのタイミングで教授が私の部屋のドアをノックしてきた。

私は教授が部屋に入ってくるその寸前のところで、荷仕度を済ませたトランクをベッドの下に押し込めた。手で間に合わなかった分は、足でじりじりと奥の方へ入れることができた。


「おや、何かしていたのかい?」

私の行動をほんの少し不審に思ったのか、教授が少し不思議そうに首をかしげていた。


「いいえ、何もありません」

「そうかい?まぁ、そこまで首を突っ込むのも良いとは思わないから止しておくけれど・・・。あぁ、そうだった、ご飯が出来たようだから、する事が終わったら降りておいで」

「分かりました。すぐに行きます」


私がさりげなく答えると、教授は頷いて、この部屋から出て行った。


教授が完全に出て行ったことを確認すると、私は、さっき急いでベッドの下に押し込んだ旅行用トランクを取り出して、ベッドの横に置いた。


その時、ふっと気がついた。

私は始めて教授に何か隠し立てをした。

何かを隠すような必要性も、そのきっかけも今までなかったし、これからもないだろうと思っていたけれど、こんな事がきっかけになるとは思わなかった。




それから私は、教授がさっき呼びにきたのもあってすぐに、夕食を取るために階段を下りて、食堂の方へ向かった。


食堂につくと、もう既に今日の食事がきちんと並べてあり、テーブルの向かい側には教授が、食べるのを待っていた。

教授は、私がやってきた事に気づくと、


「やっときたか。食事は冷めてしまってはおいしくない。さ、早く食べようじゃないか」


と、軽く笑いながら言った。

私は大して何も言わないまま、食事の席についた。そして夕食の挨拶をひとつ言うと、教授と私は同時に、料理の盛られた皿に箸やスプーンを伸ばした。


どうやら教授は、私が来るのを待っていたらしかった。

なぜわざわざ待っているのだろうか。教授だって夕食時で、空腹だったはずだ。なのに、なぜ私と同時に食べようとするのか。

一緒に食べても先に食べても、味が変わるわけでも、あとの満腹感が変わるわけでもないというのに。

そういう面では、教授、いや、世間とは変だと思った。


そんな教授を見ていて、ひとつ思い出した。

私は一人で旅立つ。でも、黙って旅立たざるを得ない。

だから家を出る前に、教授に、「一人で行く」という置き手紙を書いておかねばならなかった。

どうせ、一言くらいしか書かなくてもいいだけど。


ふと思ったことで、このシルクロードに行こうと決定をしてから、今までになかった事が、短時間のうちに起こっている気がする。

少なくとも、どこか違うところへ足が向いたり、誰かに隠し事をしたことは一回としてなかったわけだ。これを異常と呼ばなければ、何と呼べばいいのだろう。




それから30分後、わたしと教授は夕食としてお皿に盛られたいくつもの料理を平らげた。

教授は、仕事があるといって、自分の部屋に戻っていった。

私もすることは大してなかったので、食事中に思い出した事をするために、自分の部屋に向かった。


部屋に戻ると、私は部屋にある机の、いくつかある引き出しの中から、レターセットに入っている便箋を一枚取り出した。

何の模様もない、これ以上がないほどシンプルなものだった。

そしてペン立ての中からも黒いペンを一本抜き出して、キャップを取ると、机の上に置いてあった便箋に


『外国へ旅に出ます。しばらく、さようなら』


とだけ、便箋の真ん中に大きめに書いて、そのあとに二つ折りに畳んで、机の上に置き直した。




日本からトルコへの直行便は、夜の10時ちょうどに出発する予定となっていた。ふと時計を見ると、もう、8時半を回っていた。

時間を見ておくなら、もうここを出ておかなければならない時間だった。


私は立ち上がって、ベッドの横に置いてあったトランクを手にし、部屋の全体を少し立ち止まって見つめた後、部屋を出た。

教授や使用人たちに見つからないよう、とにかく内密に玄関の方へ向かい、誰も来ないうちにと、静かにこの家を出た。

大した感傷などないけれど、この家を、何となく振り返ってみた。

―――教授は、私がこんな事をして、どう思うのだろう?

悲しむのか、それとも怒るだろうか。

そんな事をちょっと考えてもみながら、私は、数百メートル先に待たせていた一台のタクシーに乗り込み

「成田空港まで」

と一言、運転手に告げた。

運転手は頷いて、車のアクセルを踏み、私が告げた目的地へ出発した。

タクシーに乗っている間も、私は窓の外の世界を、じっと見つめ続けていた。

今までいたところの、あの物静かな雰囲気とは裏腹に、街中のネオンや店の看板の様々な色の光が、夜とは思えないほどに地上を明るく照らしている。

そうかと思えば、海かと思うような人の大群が、誰一人止まろうともせず、激流のように歩いてゆく。

私を乗せたタクシーは、そんな街角の上に通っている道路を走り抜けていった。



―――時間はもう既にPMの9時20分。成田空港はもう目前に迫っていた。

なるほど、空港というものはこんなにも大きく、少しばかり不思議な形をした建物なのか。

私がボーッと建物を見ていると、私の乗ったタクシーが建物の入り口の前で停止した。到着したというわけだ。


「5500円になります」


運転手は、タクシーの料金を請求してきた。

私は降りる際に持ってきたお金の中から、五千円札と五百円玉を取り出して、運転手の手に手渡した。

運転手は満足そうな顔をして、私に向かって礼を言い、そのお金を納めた。

私は彼の声はあまり聞かず、そのままトランクを手にして、タクシーを完全に降りた。そのタクシーは、他の仕事のためか、どこかへ走り去っていった。


私はそれを見送ると、今度は入り口に入っていった。飛行機に乗り込むのはもう目の前だった。

空港というのは、夜なのにも関わらず人が大勢いて、カウンターで切符を購入したり、売店らしきところで何かを買っていたり、はたまたレストランのようなところで腹ごしらえをしている人もいる。

飛行場だというのに食堂や売店など、あまり関係のない場所があるのは、普通の人間からしたら、なかなか便利らしい。


私は空港の広さに少し戸惑いつつも、カウンターでトルコ行きの飛行機に乗るための切符を購入した。普通なら予め買っておくべきらしいのだけど、当日券が余っていて良かった。そのあとに手荷物検査を済ませ、出国審査をしてもらう。そして荷物をあちらの方に預けた。預けると、到着先の方へと届けてくれるらしい。


これで今、PMの9時40分だった。あと20分ほど時間が余っている。

というわけで、2階にある出国待合室で、座って待っていることにした。搭乗口はもうすぐそこにあった。


トルコ・イスタンブール行きの飛行機へのゲートの近くに、人はあまりいなかった。やはり時間が時間なのかもしれない。

けれどなかには、ロビーにある公衆電話から楽しそうに笑い、誰かと会話をしている人がいる。

なぜここまできて、家族や知り合いと長い電話をする必要があるのか、私はしないからあまり理解ができない。


けれど、旅立つときの空港のロビーに立つというのは、何とも不思議な感覚だった。

楽しげにゲートが開くのを待っている人もいれば、少し物悲しい表情をして飛行機に搭乗する時を待っている人もいる。

私もそれに釣られているのか、なぜ自分がこうなっているのか、これから私はどうなってゆくのか・・・先の事を考えてしまった。

それでも、教授に黙ってここまで来てしまったのだから、また戻る事もできない。


だがその時、

『午後10時発のトルコ行きは、JAR5999です。ご搭乗されるお客様は、搭乗口2の方までお急ぎ下さい』


という、女性の事務的なアナウンスがターミナル全体に放送をされた。

少し先を見ると、さきほどアナウンスで紹介された搭乗口2というところが見えた。中国行きはあそこのはずだ。

今のアナウンスを聞きつけ、他に待っていた人がちらほらと搭乗口2へと歩き始めている。


私もトランクを手にすると、搭乗口2へゆっくりと歩き始めた。

変なことに、他の人のざわめきなどが聞こえていたはずなのに、搭乗口に向かって歩きはじめると、自分が歩く音しか聞こえないようになってしまった。

けれど、聴力がおかしくなったかと思って首を振ってみると、途端に、まるで何事も無かったかのように、元に戻った。一体、今の現象は何だったのだろうか。結果として何もなかったのだからいいとは思うのだけれど。



そして、搭乗口の通路を少しばかり歩いた先には、飛行機の入り口が繋がれていて、もう飛行機の中が少し見えているような状態だった。

あそこに入ってしまえば、私がここへ帰ってくることはしばらくない。数時間後には、見知らぬ地を踏むことになる。

―――私は、本当にこんな事をして、間違いを犯してはいないのだろうか?間違いは、何もかも無意味にしてしまう。


・・・けれど、こんな場所で引き返したら、それこそ何にもならないのは誰の目にも明らかだった。


国というくらいだから、きっと大丈夫なはずだ。語学だって、この旅で行こうと思っている国の言葉はしゃべることができる。


自分にそう言い聞かせ、私は機内へ足を踏み入れ、指定されていた席に落ち着いた。


どうやら私が最後の搭乗予定客だったようで、全員乗り込んだ事を確認したキャビン・アテンダントと呼ばれる女性乗務員は、何かを操作し、下の方へ、電話のようなもので連絡を入れた。


すると、さっきまで繋がれていた機の入り口とゲートが切り離され、機の入り口は完璧に閉ざされた。動き出したことのアナウンスも流された。


窓の外を見ると、外の風景が、少しずつ通りすがってゆく。これで飛行機が動き出した事に気づいた。

機内では、あまり気になりはしないものの、外ではかなりの轟音が響いているらしく、それが室内にいる私にも伝わってきた。


そのまま外に目を遣ったら、さっきよりもスピードがだんだんと上がり始めていることにも気づいた。飛行機は、道路のようなところを更にスピードを上げて走り、やがて、機内にも更なる轟音が振動として響き、ついに飛行機の2つのタイヤが浮き上がったらしかった。

浮き上がり始めたら、そのあとはすごい速さで地上の世界を離れてゆく。


気がつくと、地上からは恐ろしいほど離れていて、東京の、夜の都会が一面に見えた。真っ暗闇の中に、小さい星くずのようなものが広がっている。


一体、私の住んでいた・・・天野教授の住んでいるあの家は、どこらへんにあるのだろうか。

そんな疑問も、上空からみた世界の前には、とてつもなく小さいものになってしまう。あんなに大きな教授の家だって、空から見てしまえば、他の光と何ら変わらない。これがすべて日本という国ならば、世界はどれだけ大きいのだろうか・・・私にはまだ想像がつかなかった。


そして私は、そんな世界へ行こうとしている。

一歩間違えばすべて踏みはずしてしまいそうなところ。私からすれば、一寸先さえまったく見えないような、深い霧の中へ入って行くのに等しかった。


それでも、乗ってしまった以上は、進んでみるしか私に道は残されていなかった。もともと、私が起こした行動の末に待ち受けていた事なのだから。



これから私は、どうなってゆくのだろうか。




書き始め:2008、11、06

書き終わり:2008、11、07

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