夢現
掲載日:2018/06/04
夢を見ました。綺麗な夢でした。
満開の桜並木、水平線に浮かぶ漁船、
黄金の稲穂、雪道に残った足跡。
都会のビル群、満員電車、人、人、人。
私の手を引いて歩き、私の肩を抱き、
私に笑いかけ、私を叱り、私を突き放す、人。
1番に愛した、人。
私の目が醒めることはもうきっとないのでしょう。
そう思って少しだけ悲しくなりました。
ちょうど私の心臓が止まったら、
きっとあなたが帰ってきて、
私を探し名前を呼ぶでしょう。
あなたが呼ぶその名前も、あなたが抱くこの身体も、
本当はあなたにとって何の価値もない人形同然の存在で、
私はただそれでいいと思っていたことを
あなたは知らないでしょう。
私が勝手に愛して私の勝手に愛されてしまったあなたへ。
私という呪縛に蝕まれたあなたへ。
いま目の前で流る血の海を見て私は思うのです。
愛してしまったなと、もうどうしようもなく唯あなただったと。
こんな夢現がいつまでも続きますように、と。




