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第66話

  「それは私から説明いたしましょう。」

その時、物陰からゲイルに付き添われた絹代が現れた。

「絹代ちゃん、いつの間に・・・」

「最初からあなた方の話を聞いていましたよ。」

穏やかな微笑みをたたえ、良から綾子に視線を移す。

「あなたがアヤコさんでしたのね?昨日紹介された時は全然気づかなかったのですが、今日良さんと60年ぶりに再会して思い出しましたわ。と言ってもあなた方にとってはほんの2〜3ヶ月前の出来事なのでしょうけれどね。」

今度は良に視線を向け、フッとため息を漏らした。

「良さん。私達に約束したでしょう?正直におなりなさいな。あの時の気持ちを思い返してアヤコさんに本当の気持ちをぶつけなさい。私達に聞かせてくれた“君のために捧げる歌”私は一生忘れませんよ。・・・アヤコさん。信じてもらえないかもしれないけれど、私は女学生の頃、良さんと出会ったのですよ。もちろんその時は良さんが救世主として私達の前に現れたと信じていたから、まさか違う時代の人だとは思わなかったの。それに良さんには心に決めた女の人がいたから初めから私達は問題外だった。私と友人の一子ちゃんはしつこく良さんにその女性の名前を言えと迫ったわ。そしてとうとう“アヤコ”という名前を聞き出したの。当然私達2人はその見た事もない女性に嫉妬したわ。その時良さんは自分の時代に戻れたなら必ずそのアヤコという女性に結婚を申し込むと約束したのよ。どうですか?良さん。その約束、守っていただけますか?」

ほこ先を自分に向けられた良は、下げた両手でこぶしを作りじっとうな垂れていたが、悲しそうな目を絹代に向けた。

「・・・・ダメなんだ。今のオレには・・あの約束は守れない。」

言うが早いかその場から逃げるように家の中に駆け込んだ。

  唖然とする3人だったが、いち早く綾子が我に帰った。

「申し訳ありません・・」

「え?いえ。でもどうなさったの?良さん。」

「はい・・・・実は・・・」

綾子は良が戻って来てからの様子を2人に掻い摘んで話した。その中には自分達の破局も含めざるを得なかったため、その件に関しては事実のみを挿入した。説明が終わると絹代とゲイルはとてもショックを受けたようで、絹代は両手で顔を覆い、ゲイルは空を仰いで十字を切った。

「――― そういう訳で良ちゃんは私のためを考えてくれているのだと思います。だからあまり責めないで下さい。お願いします。」

深く頭を下げる綾子に優しく手を差し伸べる絹代。

「良さんがあなたを選んだ理由がわかりましたよ。あなた方は比翼連理のようですね。・・・大丈夫。きっとその病は治ります。あなたが傍についている限り、きっと。」

暖かい言葉に頭を垂れた綾子の身体が小刻みに震えた。

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