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第34話

  「・・・・リョウ。話があります。」

ビルはチラッと一子を見ると、良に目配せをして先に立って部屋を出た。一子には聞かせたくない内容なのだろうと、良も静かに彼の後に続いた。普段誰も使用していない部屋に入り、鍵を掛けるとすぐビルは本題に入った。

「私達は任務が終わり次第本国へ帰ります。この戦争は近い将来連合軍の勝利で終わります。しかし戦争を終わらせるためにはきっかけが必要です。そのきっかけを遂行するのはもう少し先になります。でもその前に私達はある事をします。そこでリョウ、君に頼みたいことがあるのです。一子は大丈夫です。このままハワイに連れて行き、勝一と合流させて治療に専念するよう取り計らいます。私がお願いしたいことは・・・」

そこで突然ビルは良の耳を引っ張り、一段と声のトーンを落としてある事を囁いた。その内容に良の顔色が見る見るうちに青ざめていった。次第に体中が震えだし、話がおわってもあまりの衝撃のため良はしばらくその場から動くことが出来なかった。

「・・・・だから村の人達を君の手で救って欲しい。これは極秘事項だから本来ならそんな事をする必要はないんだが、私はキネヨに命を救われた。そのお礼がしたい。キネヨ1人を救えばいいのかもしれないが、それでは彼女が悲しむだろう。両親、友達も一緒だと気持ちが安らぐ。どうだろう。手を貸してくれないか?」

返事を請うように両肩にポンと手を置かれ、ハッと我に返る良。

「え?今何て?」

「手を貸して欲しいと言ったんだ。」

「手を貸すって何に?」

「君。今まで私の話を聞いていなかったのか?」

「聞いてって。あれ冗談だろ?あんな事本気にする奴なんかいるわけないじゃないか。オレをからかって楽しんでるんじゃないのか?」

良の言葉にビルの表情が一変した。それまでの柔和な顔が突如として軍人のそれになった。

「冗談だと!こんな事を冗談で言える人間がいたらお目にかかりたいものだ!手を貸すのか貸さないのか!2つに1つだ!どうする!!」

「えっ。そ・それじゃさっきの話は本当なのか?本気でそんな事をやるのか!君たちは人の命を何だと思ってるんだ!」

「・・・・私だって人間だ。できればそんなことはしたくない。しかしこれが現実であり、戦争なんだ。さっきの質問の答えをまだ聞いていないが、どうする?」

「どうするって・・・オレにそんな大それたことが出来ると思うのか。」

「出来る、出来ないは聞いていない。やって欲しいんだ。もし出来ないと言うのなら、君をここから出してやる事は出来ないということになる。」

「し・しかし・・・」

動揺する良にビルは更に詰め寄った。だが果たして1週間という短い時間で彼が言うような計画が成功するのだろうか・・・・。


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