表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/76

第33話

  一子が気付いたのはこのベッドの上だった。体中包帯巻きにされおまけに背中が硬い板のようなもので固定されていたので全く身動きが取れない。不安がる一子にビルは日系アメリカ人の通訳をつけた。彼を通して自分と友人の2人で一子を助けた事。加えて勝一も同じように助け、別便でケガの治療のためにハワイに向かった事を伝えた。

「え?勝一が!じゃ勝一は無事なのか?」

思わず良はビルの話を遮った。

「はい。勝一は初め、私を見ると動けない身体を無理に動かし必死に反抗しました。しかし私達の力には勝てず、泣く泣く我々の船に乗りドクターの診察を受けたのです。でも船上での治療には限りがあります。そこで止む無く彼を先にハワイに送ることにしたのです。彼は捕虜になるくらいなら死ぬ、と泣き叫びましたがドクターに鎮静剤を注射され、眠った後船に乗せられハワイに向かったのです。

「そうか!そうだったのか!良かった!良かったなぁ一子ちゃん!!」

良の目からはうれし涙が溢れていた。一子もその事を思い出したのか同じように泣いている。ただ傷が痛むのか、時折顔をしかめている姿がたまらなく愛おしくなり、良は思わず一子を抱き締めていた。もちろん良は兄が妹をいつくしむような感覚で取った行動だったのだが、一子にとっては初めての出来事だったので、そのうろたえぶりはただ事ではなかった。包帯で覆われていたため誰にも悟られなかったが、一子の身体は恥ずかしさと嬉しさで真っ赤になっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ