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第11話

  「さぁ中に入りましょう。父に紹介するわ。」

呆然としていた良は、絹代に声をかけられ現実に戻った。絹代に促され家の中に入ると、彼女の父であり神主の守野 正吉が夕方のお勤めを終えて茶の間に戻って来た。正吉は丸刈りにこそなってはいたが、神に仕えているだけあって柔和な顔付きをしていた。絹代が良を紹介しようとすると正吉は小さい島のことだからと前置きして、既に島に入った正体不明の男、つまり良の存在は知っていたと言った。そして物のない時代だが困っている時はお互い様、と快く良の宿泊を許可してくれた。絹代がこのところもうすぐ救世主が現れるとしきりに訴えていたが、あなたの事だったのか。絹代は巫女としては非凡なものを持っているものの、その予言のような話を完全に信じていはいなかった。まさか現実に起ころうとは努々(ゆめゆめ)思わなかったと付け加えた。

『助けて。』『鼓島。』という必死の声を聞いたと良が説明すると、更に正吉は絹代は何度も呼びかけていたが、最後の呼びかけで返答があり、鼓島と叫んだあと気を失ったと教えてくれた。

「こうなったらいつまででも居てくれて構わないから鼓島を救って下さらんか。なに、誰が何を言おうとわしゃ平気だよ。母さんも昔は優秀な巫女だったから絹代の言っていることは承知している。良さん。この通り、頼みます。この島を救って下さい!」

手をがっちり握られた上に真剣な顔付きで頼まれ、良には返す言葉が見つからなかった。

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