表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

過去につながる曲。

今日の音楽の授業をサボった後で、女の子、いや、女性と2人で音楽室に行くのはすごく不思議な感覚だった。さすがに隣で並んで歩けるほど強がれなかった私は彼女の後ろ姿を追っていた。


彼女が何の話をするのかはわからないが、あまり他人にするような話ではないのだろうということは、なんとなく予想していた。


それに対して、私がずっと彼女の言葉に、「あなたも」という言葉に引っかかっていた理由はあまりにはっきりしていた。

『私以外にも音楽が嫌いな人がいる。』

それは私にとって大きな意味をもつ事象であった。


本校舎から離れるにつれ周囲の音は消えていき、音楽室に着く頃には辺りは静まっていた。



中に入ると暗がりの中にピアノと机が整然と並んでいた。黒板には授業の解説で使ったのであろう板書が残されてある。五線紙を模した部分には音符がならんである。エリーゼのためにの冒頭部分だ。なんとも、中嶋先生が好きそうな曲である。


「作曲の説明をする時にエリーゼのためにを持ち出すのはいいことなのかしらね。私にはちょっとわからないけど。」


私の方を見返しながら、彼女は言う。


「確かに有名な曲だけどもっと単純な曲から始めた方がいいよね。」


私は、今の私にとってはどうでもいい話をこれ以上続けらけたくはなかったが、あくまで話してもらう側の私に急かす権利はない。


「私が初めてピアノで弾いたクラシックの曲はエリーゼのためにだったの。お父さんが持ってたCDをプレイヤーにかけて3番目に出てきた。聴いたとたんに気に入ってお父さんのピアノの横までCDプレイヤーをもっていって。」


そこまで彼女が話したところで、ようやく私は彼女の表情だんだんと暗くなっていっていることに気づいた。


「なんで、特にしたこともなかったピアノを弾けると思ったのかはわからない。なんでエリーゼのためにだったのかもわからない。けど、その日私はエリーゼのために弾けたの。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ