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吉岡習書  作者: 朱椿
2/2

忠勝様の密命を受けて早2年、書状に書いてある奴等の大半は既に殺した。殺すためにいろんなことをした。夜討ち、朝駆けは当たり前、毒殺、騙し討ち、忍者の真似事なんかもした。

当然だ、此方はただ一人、相手は有力な武士、果ては大名なんかもいた、俺にだって腕に覚えはある、だが数が違い過ぎた、俺に200人以上の武士を相手に戦う度胸なんてない、相手が外に出てくるのを待ち伏せ、斬り、逃げる。これが基本だった。

もう俺は武士とは言えないかもしれない、誰も今の俺を武士とは見ないだろう。この2年の逃亡生活で髭は伸び、髪も伸び、風呂などに入っていない体は異臭を放つ、だがこの生活ももうすぐ終わる。後一人、後一人だ。やっと此処まで来た。


最後の相手は仙台藩士・良川基綱、相手にとって不足なし。


「良川基綱殿お見受けする」


「うわっ、なんだ牢人か、貴様臭いぞ近寄るな!」


吉岡の体臭に思わず鼻を摘まむ良川一行、飲みに町へ来たようだ、相手は四人、この程度ならば幾度も経験した。


「お命頂戴」


吉岡の刀が世闇に閃く、鞘を使った神速の抜刀術。


「グワッ!」


先ずは一人。先頭にいた男の腹を真一文字に切り裂いた。そして斬った男に体当たり。奥にいた良川を牽制する。


「野郎ッ!」


「・・・ッ!」


ガチッ


男が斬られたことに呆然としていた男が我に帰り抜刀しようとするのを吉岡は刀の柄を足で押さえつけ首筋を引き斬る。


「ウワッ」


此れで二人目。


既に抜刀し、後ろから大上段で斬りかかって来た三人目の刀を前を向いたまま体を丸め、刀を背負うようにして受け流し、振り向き様に一刀、大上段からの打ち下ろしであるが故に受け流され、体勢を崩した三人目はなす術も無く右腕を斬り落とされた。


腕を斬り落とされたショックからだろうか、三人目は死んだように動かない、恐らく気絶したのだろうと当たりをつけ、吉岡は良川の居るであろう方を向く。


果たして其所に良川は居なかった、良川は吉岡を前にして尻尾を巻いて逃げ出したのだ。

少し先に逃げる良川の背が見える。

吉岡は怒っていた、尻尾を巻いて逃げた良川に、そして任務の最後を飾る相手が腑抜けだったことに・・・何より仲間を見捨てにげるその心根に。


「逃がすものか、逃がすものかよッ!!」


吉岡は速かった。

二年間の逃亡生活の中、幾多の山を越え、谷を越え鍛えられた吉岡の脚力は常人のそれを遥かに越える、役所勤めの良川が逃げられる相手では無い。

直ぐに追い付く。


「うおっ!」


後ろからのプレッシャーに負けた良川の足がもつれ、地面に転がる。


其所に追い付いた吉岡の刀を突き付けた。


「ひぃっ!」


「立て、刀を抜け、貴様それでも武士か、立って戦え」


許せなかった、仲間を見捨て、地べたを這いずってでも逃げようとするその姿が、かつて自分が憧れた武士の姿が汚されているようで。


「ぴっ」


良川は立てなかった、かつて無い程の恐怖にさらされ、足はガクガクと震え、歯はカチカチとなり、腰は抜け、失禁までしている有り様だった。


「もうよい、死ね」


ザクッ・・・


吉岡は良川の喉に刀を突き刺した。


血飛沫きを浴びながら吉岡は呟く。


「終わった・・・」


吉岡は駆け出した。

一抹のやりきれなさを残して。

戦闘描写が難しい(ノ_<。)

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