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第五章⑫
宮古は第四詰所を出てからまず風紀委員会が占拠する高等部校舎のとある部屋に向かった。
「麻美子!」叫びながら扉を開けた。そこには棗田と平安名しかいなかった。二人はパソコンの前でポテトチップスをかじっていた。この瞬間には、ポテトチップスに伸びる手が止まっている。二人ともビックリして宮古を見ていた。
「麻美子はどこ!?」
宮古は恫喝するように質問した。二人は麻美子の従順な犬だ。だから、二人に事件のことを問い詰めることはしない。まずは麻美子をとっ捕まえることが最優先事項だ。宮古の顔が怖いのだろう。棗田と平安名は涙目で抱き合っていた。震えている。震えた指で、スマートフォンを弄って宮古に差し出したのは平安名だった。
「GPS?」スマートフォンの画面には明方女学園の簡略化された地図、そして点滅する三角形。「ウサギ小屋? ここに麻美子がいるのね?」宮古が聞くと諤々と頷いた。「待っていなさいっ、麻美子ぉ!」
宮古は扉を壊す勢いで部屋を飛び出した。




