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9.きょうこ視点

☆きょうこSIDE


オカマ→カマ子

英語女→英ちゃん

メガネの部員→インテリ


いつもと比べて長文です


 カマ子と英ちゃんは、いつも喧嘩しとる。仲悪いわけやないけど、お互いの価値観を理解しようとせんから売り言葉に買い言葉。


 英ちゃんは英語しか喋らんし、まわりの人間にしたら何言ってるんかさっぱりや。


 部長は自由な人やから止めに入ることはぜったい無くて、傍観しとるだけ。インテリは完全無視やから論外やし、バンダゲはもう諦めとるって感じや。



 だから、2人を止めるんはいつもあたしの役目や。もうそれが日常になってしまってた。








英ちゃんは静かに絵を描いて……あとインテリはずっとパソコンしとる。バンダゲはいつも誰かと喋っとる。




 便利屋みたいな活動をすることもたまにあるけど、そもそも依頼が来ぉへんからみんな自由気ままな時間を過ごしている。




 それが日常。

 うちらの日常。




 でも、今日は違った。

 いつもみたいに力づくでカマ子と英ちゃんを黙らせたら、見慣れへん男子が1人、紛れてたことに気がついた。依頼に来たんやとすぐ分かった。そして、この個性的なメンバーを前にして、依頼を切り出せないでいることにも。



 声かけようかと思った時、傷だらけの男――――バンダゲがやってきて、「保健室まで同行しろ」やなんて丸わかりの嘘までついて、依頼人の男子生徒を連れ去ってしもた。


 バンダゲは、部員の中ではたぶん一番まともな男や。


 きっと状況を察して、戸惑ってる男子生徒に助け船を出したんやろう。


 バンダゲなら安心や。アイツやったら、きっとなんとかしてくれる――――……










 うちがこれまでの事態を解釈したトコロで、英ちゃんが誰にともなく話しかけた。


「Boy …… a little while ago and who as far as that goes? Such member?」



 ……いや、だから、分かられへんって!なんで英語なん?なんで日本語しゃべらへんの?うち、不思議でしゃあないわ……



「さっきの男の子、誰だったの?だってさ」




 例のごとく、カマ子が和訳してくれる。この男(?)がいてへんかったら、うちらどうなってることやら……



「なんか依頼に来てたっぽいけど、まわりがうるさかったし後で聞いてあげようと思ってたら……行っちゃった」


 あいかわらず、りんごジュース飲みながら部長が説明してくれた。


 やっぱりか。そんなことやろうと思ったわ。うちの部長、マイペースやしなぁ……


 ていうかホンマに、そんなに飲んで、お腹たっぽたぽにならへんのやろか?




「あらやだ、新入部員じゃなかったの?あたしてっきり新しい子だと思って、コードネームまでつけちゃったのに」


「コードネーム?」



「『ゴリラ』よ。森林豪理羅もりばやし ごりらっていう名前らしいから、ちょっとごつごつしてるけど、力強い名前でしょ」



「なんやそれ……その子、ぜったいコンプレックス抱えてるやん。やめとき、森林くんに失礼や」




 えー?とか、でもぉ……とか、かなり名残惜しそうにカマ子はうなってた。この人は、他人のニックネーム……もといコードネームを作るんが趣味やけど、そのセンスはあまりいいものとは言えへんと思う。



 ぽんぽん、とウチの肩をたたく英ちゃん。そして。



「It came for that boy and the request. “strap” : though said … as far as that goes」



 え……?

 いや、ぜんっぜん分からへん!!英語ホンマあかんねん!こないだかて欠点取ったばっかりやし、センキュー、とか、グッモーニン、ぐらいしか分からへんねん。



「あの男の子、依頼に来てたんだ。そういえば、『ストラップ』って言ってたけど……。だってさ」


 こういう時だけはめっちゃ役に立つわ、カマ子さん。今度、勉強教えてもらおかなぁ。



「ストラップ、言うことは物探しかなぁ?ストラップ探してほしい、とか」


「そうよねぇ……というか、それしか思いつかないわ」












「ねーねー、さっきの子、かばん忘れてるよ?」


 ふと、部長が口をはさんだ。


 忘れられたかばんにはストラップ、の金具だけがついていた。本体だけがない。落としたのかもしれない。



「もしかして、落とし物探し?」


 意外と勘の鋭いカマ子が言った。もっと鈍感なやつやと思ってたのに。













* * * * *




「どお?」



 カマ子の視線が――いや、ここにいる皆の視線が、インテリに向いてた。


 インテリは、いつもパソコンの画面を見てニヤけてたりするけど、その分パソコンのことに関しては人の何倍も詳しい。それに、異常な情報通でもあるし。この学校にあるインテリ情報網を使えば、分からへんことなんて数パーセントもないとか。ホンマかどうかは定かではないけど。




「森林豪理羅のストラップが消えた件について、目撃情報。ストラップは、同じクラスの藤沢拓也という男によって盗まれた模様。動機は中間考査の成績が森林よりも下だったためだと思われる。ちなみに、森林の友人の話によると、ストラップは初恋の人からもらった大切な品らしい」



 情報提供してくれるのはうれしいけど、もっと分かりやすく説明してくれへんやろか……。分かりにくくてしゃあないわ。まぁ、そのたびにカマ子が補足してくれるんやけど。



「……つまり、ゴリラちゃんのストラップを盗んだのは同じクラスの『藤沢拓也』って人で、藤沢はゴリラちゃんよりもテストの点が悪かったもんで頭に来て……で、ゴリラちゃんが初恋の人からもらったっていう大切なそのストラップを盗んだわけね」



 主犯は藤沢――それが分かった以上、ここでのんびりしているわけにはいかへん。



「インテリ、藤沢って男の居場所、分からんの?」



「ボクに得られない情報などない」



 憎たらしくそう答えたインテリは、キーボードを数回たたいただけでまた口を開いた。



「廃部になって使われなくなった卓球部の部室庫」






「よぉし!そうと決まれば、さっさと終わらせるわよ!」



 カマ子が威勢の良い声を上げて、気合いを入れた。







 この学校は、あまり治安がいいとは言えへん。不良も少なくない。

 だから、たまにこういうことがあると、ウチらの役割はそれぞれ決まる。



 まずインテリが情報収集。その情報をもとに計画を立てるのがカマ子。そして、それを実行するのが、ウチと部長と英ちゃんや。これがまた息ぴったりで。


 こういう時のうちらの団結力は、誰にも負けへん自信がある。


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