7.その名は、きょう子!
さて、俺はいつになったら帰れるのだろう。
そして、いつになったら俺の宝物は見つかるのだろうか。
なんだか、これまでの経緯が長過ぎたので、かんたんにご説明しよう。
小学生の頃、初恋の女子からもらったキーホルダー(俺にとっては宝物)を、先日なくしてしまった。
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『便利屋』的活動をしていると噂の美術部を訪れる。
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初対面で、ジュースを勧められる。
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オカマに説教をくらう。
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英語しか話さない少女が現れ、オカマと激しい論争を繰り広げる。
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俺、唖然。
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メガネかけた男子部員が入ってきて、1人でパソコンの画面を見ながら鼻笑い。
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最初にジュースを勧めてきた部員が、イチャつくカップルの映像を流しはじめる。
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なんとそのジュースの部員は、美術部の部長であったことが判明。
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部長が美術部の部則について説明。
……とまぁ、こんなトコロだろうか。今から思えば、長い道のりだったなぁ。
でも、なんか俺、これ以上ここにいる意味なくない?自力で探した方が早くない?できればふつうの部員に相談したいんだけど、ふつうの部員がいないからもうどうしようもなくない?
「ちーっす」
俺が本格的に思案していると、また新しい部員が入ってきた。
女子。少し茶色っぽい髪をした、どこにでもいそうな女子高生。この人も何か、個性的なキャラクターなのだろうか……?
などと、じゃっかん警戒していると、見た目ふつうな感じのその女子部員は少しの間、今だ終わりそうにないオカマと英語女の論争を静かに見つめていた。
半ば、呆れたように。半ば、うんざりしたように。
そして、机が、割れた。
机が破砕した。いや、壊れた。いや、粉々になった。
どちらにしても、オカマと英語女のすぐ近くにあった、応接用の机が本来の形をなくしてしまったのは確かだ。
怪力!……のレベルじゃないんですけど!?
部室に入ってくるなり、その、見た目ふつうな女子は机に歩み寄り、かばんを振り上げて見るも無残な姿に変えてしまったのだった。
結論;やっぱりふつうじゃなかった。
そして俺は、この恐ろしく強い女を前にして、逃げ出す機会を完全に失ったことを悟った。
「あーあ……きょうこ、また部室のもの壊して……」
呆れたように、ジュースの部長がそう言った。
また、って何?常習犯なの、この人!?
てか『きょうこ』って……なんか、似合わないんですけど。きょうこって、もっと清楚な人が名乗るべきだと思うんですけど。少なくとも、かばんひとつで机ぶっ壊すような人はもっとなんか……獣のような名前の方が合ってると思うよ。
……などということは、口が裂けても言えまい。
「あたしの所為ちゃうし。2人が訳分からんこと叫んどるから、止めようとしてあげただけやん」
へぇ、関西弁なんだ。意外だなぁ。そのギャップが男子生徒には受けたりするのかな。でも君の怪力を見た瞬間男子はみんな身の危険を感じて逃げると思うよ。
なるほど、オカマと英語女が論争してたんで、止めようと思ったわけだ。へぇ……
でもだからって、机壊しちゃダメだよねぇ!??




