6.変な部活、変な規則
遅くなりました。
申し訳ない。
りんごジュースを1本、飲み終えた部員が、からになった紙パックを静かに置いた。
「びっくりするでしょ?」
「え?」
俺は思わず聞き返してしまった。
そもそも、この部活は全てが驚きの連続で、びっくりするでしょ?と聞かれても何についてなのかさっぱり見当がつかないのだ。
すると、俺の意思を知ってか知らずか、ジュースの部員はつけっぱなしのテレビに視線を寄越した。
「あれ。テレビ。勘違いしないでね、私、ああいう趣味はないから。部則だから、仕方ないの」
あぁ、そうなんだ。
良かった。好きでつけてるわけじゃないのね…………
………………………。
どんな部則だよ!!?
部則って、あれだよな?部活全体で決めてる規則のことだよな!?それがなんで、イチャつくカップルの映像を流そう!ってことになんだよ!!!
「私、部長だからさぁ、こういうことには気を付けなきゃいけないんだよね」
ジュースの部員――いや、部長か、部長なのかこの人!ともかく部長さん、気を付ける、って、なにを?
この美術部には、守らなればならないルール……いわゆる『部則』が3つだけ、あるらしい。
部長さんがご親切に説明してくれた。
* * * * *
部則3箇条
〜その1〜
テレビの電源を入れ、男女の映像を部活中ずっと流しておく事。
※これは、絵を描く際に必要なイメージトレーニングになるそうで、よりリアル感を演出するためだとか。
〜その2〜
部員は皆、コードネームを用いる事
※これは美術部の伝統とも言えることで、先輩から引き継がなければならない必要事項……だそうだ。とゆか、必要か……?コードネーム……
〜その3〜
先輩後輩に関わらず、敬語を使ってはいけない。この部則を破れば数日の謹慎処分。
※これはなんというか……まったくもって意味が分からない。一応、メンバーが仲良く活動できるように作られたらしいが……
* * * * *
いろいろと突っ込むべき所はあると思うのだが、話を聞いていてひとつ分かったことがある。
それは、まぁ、部員だけじゃなく部活全体がふつうじゃないということだ。
そしてこの時、俺は初めて、このジュースを飲むことしか頭にないような部員が、美術部の部長であることを知ったのだった……




